●きのうの英雄、きょうは無謀登山者 1月25日、アルプスのラ・ヴァノワーズ山系標高3000メートルの地点で行方不明になっていた登山家3人が、10日ぶりに無事救出された。彼らは雪の吹きだまりに穴を掘って閉じこもり、風速120km、気温零下20度の悪条件と闘った。ところが翌日の記者会見では、悪天候にもかかわらず難しいコースに挑んだことに質問が集中、登山家3人は会見を中断して席を立った。彼らが、「パリ・マッチ」誌に冒険談を35万フランで売っていたことも明らかになり、プラロニョン町は救出費用として12万フランを請求。 ●ルノー好成績、日産との提携近し? 3月1日、ルノーのルイ・シュヴァイトゼール社長は、1998年度は純益88億フランで1989年以来の好成績と発表。メガヌやクリオなどの車種の売れ行きが順調に伸びたこともあるが、リストラによる人員削減(96年以来約1万5千人減)の効果が出てきているともいえる。またシュヴァイトゼール社長は「日産との資本提携の可能性も検討中」とも語った。 ●対人地雷全面禁止条約発効 世界中に1億1000万個が設置され、毎年2万6000人(90%が一般市民)が被爆している対人地雷の製造と使用を全面的に禁止するオタワ条約が、3月1日に発効。フランス政府は、保有する地雷を来年末から廃棄すると発表した。最大の製造国である米国、中国、ロシアはこの協定に加盟していない。 ●欧州連合に熱心なシラク大統領 3月3日、国民議会で新欧州連合条約(アムステルダム条約)批准にともなう法案が可決されたが、審議開始に先立ち、「フランスの運命は、自国内に引きこもることではなく、それどころか外に向かって身を投げ出し、その理想を分かち合って生きることであった」というシラク大統領のメッセージをが読み上げられ、与・野党から拍手が贈られた。 ●ロラン・デュマ氏ピンチ デュマ憲法評議会議長は、石油大手エルフ社の贈収賄疑惑の一環で取り調べを受けたが、3月3日、元愛人のクリスティーヌ・ドヴィエ=ジョンクールさんは、1990年、ギリシアの小彫像12体を手に入れるために、デュマ氏がエルフ社から30万フランを受け取ったと証言した。この新証言で、デュマ氏が憲法評議会議長に留まっていることをこれまで支持してきた社会党内部にも、辞任を要求する声が高まってきた。 ●フランス人で初めて6m 3月6日、前橋で開催されていた世界室内陸上選手権で、棒高跳びのジャン・ガルフィオン選手は、フランス人で初めて6mをクリアした。故意に左手を使ってバーを押さえたとして、最初は失敗と表示されたが、最終的には公認されて先のオリンピックに続く金メダル。6mを越えたのは世界で9人目。 ●普遍的医療保障案閣議を通る 「戦後もっとも重要な社会的進歩のひとつ」とマルティーヌ・オブリー連帯・雇用相が力を入れていたCMU (couverture maladie universelle 普遍的医療保障)法案が閣議を通り、4月に国民議会で可決されれば2000年1月1日から施行される。それによれば、フランス人あるいは正規の外国人滞在者は、16歳になると自動的に社会保障の恩恵に浴することができ、収入が一定のレベル(一人暮らしなら3500フラン)に達しない人は、医療費100%がカバーされることになる。 ●共和国法院の判決 汚染血液製剤問題に関し元閣僚に刑事責任があるかどうかを裁いていた共和国法院は、3月9日、ファビウス元首相とデュフォワ元社会問題相に無罪の判決。エルヴェ元厚生担当相は、輸血を受けた人たちへの連絡が不十分だったり、輸血用血液の管理に手抜かりがあったとして有罪としながらも、判決以前に過度に有罪扱いにされてきたことを考慮に入れて刑罰は免じる、という奇妙な判決となった。 |