「知ることのできない崇高な世界を開く内面的ひらめきを、見えるものとして伝えたい。」1960 – 70年代サロンに頻繁に出品していた頃、モローのテーマは懐古趣味に思われ、画壇の評判はあまり良くなかった。しかし一方で、物語のモチーフやビジュアル的要素を象徴的に用いたこの詩的絵画は、ユルスナースやプルーストなど、特に文学者のあいだに熱狂的なファンを生んだ。コンセプチュアルなテーマの捉え方だけでなく造形的な面でも、色と形態の関係を抽象的表現へと発展させていった。彼の創作的姿勢には現代美術の先駆けとなる部分が非常に多い。その自由で現代的な思想は高等美術学校での主任教授時代、ルオー、マティスを初めとする教え子たちの個性を存分に引き出したことでも知られている。 「描こうとする像に性格を与え、それに合わせて服を着せていく。 “サロメ” には神秘的な巫女や魔女の姿を表現したかった。それで装飾を凝らした衣装を考え出したのだ。」”サロメ” 制作時に資料として集められたアルジェリアの女性やアルハンブラ宮殿の写真、 “ジュピターとセメレ” 制作中の記録写真、そして世界中に散らばるモローの作品も一堂に集められ、生前に自宅を改造してつくったあの美しい G・モロー美術館をよく知る人も、改めてこの画家の仕事を振り返ることができるだろう。 (仙) *Galeries Nationales du Grand Palais 1月4日迄 (火休) |
1833年ベルギーはナミュール生まれのロップスはブリュッセル、パリ、エソンヌで作家、芸術家等と深い交流を持っていた。1874年、パリに移住して来た彼を暖かく迎えたのは、やはり今年没後百年のギュスタヴ・モローだった。作品の中で梅毒に冒された娼婦やアプサントを飲む女、悪魔、死、エロチシズムなどのテーマを風刺と幻想を交えて描いただけでなく、私生活でも離婚後に二人の愛人姉妹との共同生活で子供をもうけるなどの放縦さが世間を騒がせた。私の友人は中学校の仏文学の教科書で見た挿絵『ポルノクラテス』がロップスの作品との出会いになった。絵は鮮明に焼きついたが、教科書の内容はまるで頭に残らなかったそうだ。(美) |
Galerie A.Gimaray:12 rue Mazarinne 6e ● Gustave MARISSIAUX (1872-1929) 1899年仏からベルギーに移住し今世紀初頭にカラー写真を開発。靄の中のイタリアの風景など。11/26迄(月休) Centre Wallonie-Bruxelles : Centre Pompidou 前 ●ユージェーヌ・ブーダン (1824 -1898) 印象派の先駆者として、特にノルマンディーの風景画を多く残す。11/27迄 Galerie Schmit : 396 rue St-Honore ● Enki BILAL <マンガ原画展> 最近作”Le Sommeil du Monstre”のアクリル・パステル画99点。11/28迄 Galerie C. Desbois : 14 av des Bourdonnais 7e ●ハンブルグの<アトリエ9> 若手挿絵画家9 人の作品。12/18迄 Go奏he Institut :17 av d’Iena 16e (日休) ●倉俣史朗 (1934 – 1991) <回顧展> 機能的で遊びに満ちたインテリアデザイン。家具40点とデッサン。12/27迄 装飾美術館 :107 rue de Rivoli 1er (月休) ●三宅一生デザイン展 過去10年間の作品を J. ヌーヴェル演出の空間の中で紹介。1/17迄 (12h-20h) カルチェ財団 : 261 Bd Raspail 14e (月休) ●ロレンツォ・ロット (1480 – 1557) ラファエロ、デューラーの影響も受けたルネサンス画家。宗教画での性格描写は独特。約50点。1/11迄 グランパレ (火休) ●ティエポロ (1696 – 1770) <回顧展> ヴェネツィア派代表画家の仏初の回顧展。84点他、版画。1/24迄 プチパレ (月休) ●ティントレット展 ( 12/13迄) 5区区役所 ●エジプト・ローマ時代の葬儀品 1~4世紀の棺画や死者の肖像画、副葬品約100点。1/4迄 ルーヴル (火休) |