最新映画情報

●DEJA MORT
20才という若さをもてあます南仏の青年アンドレアは、ニースでフォトエージェンシーを開いたばかりの御曹司ダヴィッドと出会い、彼にモデルとしてロールを紹介する。ロールの哀願に折れてアンドレアはダヴィッドとその仲間たちとの共同生活を始めるが、ポルノ映画スターとしての階段を着々と上っていくロールの脇で、アンドレアは酒と麻薬に溺れるダヴィッドたちの生活のリズムにはまっていく。信憑性があるかどうかは別として、「何も失うものがない」から「何でもやってやる」という一途でかつ自暴自棄になった若者たちの姿が、悲しく美しく描かれていく。音楽も映像もプロモーションビデオの抜け殻、と取られても仕方がない部分は確かにあるが、A・テシネのLES VOLEURSで素晴らしい演技を見せたブノワ・マジメルの、マンネリ化する前のショーン・ペンにも似た、細やかさと強さが混在した表情を見ていると、フィルム・ノワールの再来も遠くないかな、と期待してしまう。 監督は長編デビューを遂げたオリヴィエ・ダアン。 (海)


●VAMPIRES
トランシルヴァニアならぬニュー・メキシコの荒野に赤い夕日が沈むと、土中から次々に不死の者たちが蘇る。対するは重装備のワゴンに分乗した吸血鬼狩りのヘビメタ男たち。「スクリーム」 世代のアイドル、J・カーペンターの新作は再び、 怪奇映画の原点ともいうべき「吸血鬼」 だ。例によって血糊や惨殺死体もたっぷり登場するけれど、吸血鬼映画に欠かせない美意識や詩情もちゃんとあり、勘どころを押さえた展開はさすがベテラン。風雨に晒された砂漠の廃屋は山中の古城に劣らぬまがまがしさで、とてもゴシックだし、吸血鬼狩りの一隊が荒野の七人みたいに並んで進む冒頭シーンの緊張感もいい。監督自身が担当したという音楽が雰囲気を盛り上げる。ラストがやや雑な感じはするけれど、なかなか面白かった。まわりがみな少年少女ばかりなので、大人の観客はちょっと照れます。 (由)

● THE BIG LEBOWSKI
“Fargo” に続くコーエン兄弟の新作は肩のこらない極上の娯楽作。前作でも、妊娠中の女刑事が、まわりとどこかズレていて不思議な味があった。この作品の主人公ルボウスキー君 も、失業の身で、朝から晩までマリファナを喫い、暇があると友人とボーリングを楽しむという、湾岸戦争時代のアメリカにいてはいけないような、ズレ人間。そんな彼が、ひょんなことから誘拐事件に巻き込まれてしまう。繊細でいながら大胆に演出されたズレのおかしさに、館内は爆笑が絶えない。ジェフ・ブリッジス伸び伸びとこの怠け者を演じているし、イエスと名乗るボーリング・フリークを演じるジョン・タトゥーロに、我が目を疑った。アルトマンの名作『ロング・グッドバイ』の影を感じたのは僕だけではないだろう。 (真)