皆さん、『タイタニック』は観ましたか? 今や社会現象ですから、観ておかないと話題に遅れるぞー!とまあ、黙っていても客の入る映画のことを(吉)が煽り立てる必要はないのですが…。ゴダールなら「悪趣味の極みで、観た後お口直しが必要」と言うところですが、そんなことは分かっていても、つい観に行ってしまうのがアメリカ映画の魔力。何たってアメリカ映画ですから、臆面もなく突っ走る感情操作に酔わなくては負けですよ。というわけでこれからの方はハンカチのご用意を!
史上最高の制作費240億円をかけ、当初はその回収も危ぶまれていたが、今や日に日に世界中から入る興業収入は『スターウォーズ』や『ET』の持つ記録を更新中。今世紀最後の超メガヒットとなることでしょう。ただ貨幣価値というのが違いますから、劇場の動員数からいくとまだ『風と共に去りぬ』や『白雪姫』には遠く及ばないそうです。同時に、主演のレオナルド・ディ・カプリオ君という大スターが(すでに十代の女の子を中心にここ2、3年人気がもり上がっていた)これで完全にブレイクしました。去る11/1日の東京映画祭でのワールドプレミアに彼が登場した時の暴動寸前の騒ぎは語り草。ヒロインを演じたケイト・ウインスレット(英国出身で超暗い『日陰のふたり/Jude』に主演していた)のタフな魅力にも注目。セリーヌ・ディオンが歌う主題歌 ” My heart will go on ” もヒット中。関係したものすべてを”金”に変える勢いです。
さて、観た後の感想は「人間、最後まで頑張るんだぞ!」 (吉)
◆ Cinema du réel
各国のドキュメンタリー映画が連日朝から晩まで上映される映画祭。今年は日本の作品が特別ゲスト。
見逃せないのは小川紳介の作品。通信教育生の苦しい生活を追った「青年の海」(17日/18h30。同じ回に羽仁進の名作「教室の子供たち」)、成田空港建設反対運動の日々を農民の立場で描き、記録映画を変えてしまった「日本解放戦線・三里塚の夏」(18日/21h)。傑作中の傑作は「ニッポン国 古屋敷村」(22日/13h30)。実生活でも農民になりきって、冷害の原因を探った科学映画。おわり婆さんの話のおかしさには涙がでる。田村正毅のカメラも秀逸だ。
私映画の頂点で、元恋人の出産のシーンに息をのむ原一男の「極私的エロス・恋歌1974」(19日/11h)、水俣シリーズ以前の土本典昭の中編「ある機関助手」や「ドキュメント路上」(19日/18h30)も見に行きたい。
30フラン。一日券は60フラン。
*Cinéma des cinéastes :
7 av. de Clichy 17e 01.5342.4020