Q:そもそも、どうしてディジョンへ?
高橋:一番初めに来た理由は、ブルゴーニュのワインが好きだったということと、語学学校が安かったことの2点です。ディジョンにはブルゴーニュ大学の語学学校があったので。ワインも現地に来れば安く飲めるだろうと思いました。
Q:パリは初めから考えていなかったんですか?
高橋:パリに行く必要がなかった。3倍高い家賃を払って、1/3の部屋に住むのは馬鹿馬鹿しいし、お金がいくらでも必要じゃないですか。チーズもワインも高い。それに、パリにいれば日本人のコミニュニティに入ってしまって、来た意味がない。フランスの文化を知るには地方に行かないと。都市はパリでも、NYでも、東京でもほとんど変わらない。なので、地方に行こうと。フランス人の友達もすごくできる。不便なことはいっぱいあるけど、別にそんなのは気にしないので(笑)。
Q:確かにパリは便利で、フランス語を使わなくても概ね生活できますね?
高橋:便利すぎるのも大変じゃないですか。例えば、携帯電話のおかげで人と人が近くなった気はします。いつでも話せるし。でも、昔は手紙書いたり、2週間後の約束を待ち遠しくしていたり。今は1日前に約束できるし。5分前にキャンセルできる。一見便利になったようだけど、心と心は遠くなったと思うんです。生活は楽になっているけど、豊かになっているとは思わない。だから利便性を追求して都会に住むより、地方の方が幸せだな、って思います。
Q:一方でパリには日本人の若い料理人がたくさん来ています。
高橋:「なんで、日本人がいる店に行っちゃうの?」って思います。「だったら日本にいれば?」って。フランス人と苦労しながら、頑張った結果が出るんじゃない?って思うんです。「最初言葉が分からないから、半年は日本人の店で」って人もいますけど、日本で準備できていないからそうなるんであって、考えが甘い。
Q:ご出身の辻調理師専門学校のHPでも同じことをおっしゃっていました。
高橋:料理を習いに来たわけで、日本人の友達をつくりに来るわけじゃない。フランス校に通っていた時、学校だと日本人ばかりですけど、みんなで違うお店に研修へ行って、研修が終わったらどこかで落ち合う。そこでは、愚痴しか話さない、だったら、そんなことはしない方がいい。そんなことをしている時間があったら、どう自分を改善するかを考えた方がいい。よっぽどのことがない限り、問題は自分にある。
Q:……厳しいですね。
高橋:人生一回しかいないので、無駄なことはしていられない。いかに時間をうまく使うか。時間をうまく使わないと、仕事をしながら遊べないし。
Q:お休みはきちんと取られているんですか?
高橋:週2日休みで、年8週間の休暇を取っています。日本にいるんじゃないし、フランスは、仕事以外にもやることがいっぱいあるので。お店ではしっかり働きますが、オンとオフははっきりしないと。
Q:スタッフも今日の3名だけ?
高橋:よく同業者に聞かれます。「どうやって一人で回してるの?」って。 それはわからないですよね。やってないから。物理的には2人分の仕事をするのは無理です。ボルトと同じ速さで走れ、って言われたら無理だし。でも、工夫次第でどうにかなります。億万長者になりたいわけでもないので、スタッフもこれ以上増やす必要はありません。バランスをとっています。仕事4割、自分たちの時間6割。そうするとプライベートは年間150日くらいを占めます。「そんなに休んで大丈夫?」ってよく言われますが、「やってみたら大丈夫だった」結果的に。大丈夫だから続けているんです(笑)。
Restaurant So
Adresse : 15 rue Amiral Roussin , 21000 DijonTEL : 03.8030.0385
アクセス : M° Ranelagh
URL : www.n41.fr
火〜土 12-14h/19h30-21h30 昼メニュー:15€と18€ 夜メニュー:23€と35€