Q:将来はご自分の店を開きたい、と。イメージはありますか?
山:小さな店です。この店でもまだ大きいかな、と思っています。もっと小さな店。
Q:それでやっぱり、ここですか、日本じゃなくて?
山:いやあ、それはまだ決めていないです。
Q:日本ならばやっぱり地元、大阪ですか?
山:いや、こちらに来てから知り合う人は東京でやっている人が多いので。ただまだわからないです。
Q:ただ東京には住まわれたことはない、するとまた「飛び込み」で?
山:まあ(笑)。
Q:フランスに来てよかった、と思いますか?
山:もちろん。
Q:いつ頃ぐらいから来たいな、という思いを?
山:もう若い頃からです、ずっと。最初の大阪時代から行きたかったんじゃないかと思いますよ。ただやっぱり当時は稼いでいなかったんで、給料はもらっているとはいえ一人暮らしをしながらだからなかなかお金も貯まらなかった。当時はそんなにインターネットも普及していなかったので、どうやって行けばいいのかもわからなかったし、教えてくれる人もいなかった。
Q:働いたフレンチのお店には、すでにフランスへ行ったことのある先輩はいなかったんですか?
山:いや、いなかったです。
Q:最初に飛び込んで入ったフレンチと、実際こちらのフランス料理とは違いましたか?
山:全然違いましたね。
Q:何が違った?
山:やっぱり食材ですよね。日本には季節感が結構ないじゃないですか。アスパラガスなんか年中あるし。フランスって、この時期だったら今何があるんだろう、と考えるといろいろなものがある。でもその季節が終わるとパタリとなくなってしまう。そういう楽しみがあります、料理を作っていると。僕は日本のフランス料理のレストランで働いている時にはちっとも季節感を感じませんでした。僕は季節感がある方が好きですね。
Q:日本で出しているフランス料理ってフランス料理ではないと思いますか?
山:いや、なくはない。でも、なんだろう、僕が求めている料理ではないですね。
Q:「フランス料理を作るならばフランスの素材を使わなければ」というどなたかの言葉を思い出しました。
山:そうですね。だから日本独特の素材を使ってフランス料理を作るのであれば僕はいいと思うんですよね。それを、フランスを真似ようとして日本で作るフランス料理は好きじゃないです。
Q:創造、創ればいいんですよね。真似るから「違うな」ということになってしまう。確かにそうかもしれない。
さて、そろそろ皆さんにお聞きしている質問を。
あの、山本さんにとってお料理って何ですか?
山:僕はコミュニケーションの一つだと思っています。僕、コミュニケーションが本当に苦手なので、対人恐怖症、というのか。話すのが苦手というか。
Q:えっ、そうなんですか?
山:あんまり好きじゃないです(笑)。
Q:もしかして私のことが怖いとか?
山:いやいや(笑)。
Q:フランスにいると嫌でも喋らなきゃならないじゃないですか。
山:もちろん、仕事の話だと大丈夫なんですけれど、こうして自分の話になると…
Q:人見知りするタイプ?
山:かもしれないですね。あんまり探られるのが得意じゃない。
Q:すると対人恐怖症かもしれなくて、話すのが苦手な山本さんが出会った、とても素敵なものが料理だった、ということですね。
山:そうなんです。そういうことになりますね。
Q:だって、料理がなかったら、人とあんまりコミュニケーションが取れなかっただろうし(笑)。
山:(笑)まあ。
Faggio Osteria
Adresse : 75 rue de Rochechouart, 75009 ParisTEL : 01.4036.0622
アクセス : M° Anvers, Barbès - Rochechouart
12h-14h30 / 19h-22h30 火水休み