《3月15日号表紙の話題》
収穫した巨大カボチャを抱えるカルロスさん、隣の畑のマリーさんとセルジュさん。オーベルヴィリエ市にあるJardin ouvrier*での光景です。
「労働者の庭」の名のとおり、もとは19世紀、労働者が家族と畑仕事をしながら余暇を過ごせるように設けられたもの。今もところどころに残っています。食べきれないほど収穫したら交換したり、椅子に座ってお酒を飲んだり。屋外で仲間と過ごせる憩いの場です。
でも、こんな畑も存続の危機にさらされています。2024年に迫ったパリ五輪のプールや、エコ・カルチエ(環境に配慮した住宅地)建設計画が推められているのです。つぶされたばかりの畑の地面をコンクリートで固める作業の音が響いてきます。2月は工事の反対運動の人たちが十数人、警察に連行されました。
猛暑対策などもあり、今やビルの屋上に畑を作る時代。行政がエコロジーを謳いながら都心に残るわずかな畑を潰すのは、なんとも残念。小さな植木鉢でも植物が育つのを見るのは嬉しいもの。地中にはミミズ、カルロスさんが風力発電機を作った小屋の下にはハリネズミも生息します。もうすぐ、樹齢30年の桜の木が、さくらんぼをたわわに実らせるころなのです。(集)
*このjardin ouvrier の正式名称はjardins ouvriers des Vertus d’Aubervilliers.
仲間のカルロスさんの畑へ。