マクロン大統領と人気ユーチューバーが「おもしろ話バトル」。エリゼ宮(大統領府)内で撮影が行われ、5月23日に投稿された。大統領と対決したのは、650万人のフォロワーをもつマックフライとカルリートのコンビ。ビデオは投稿された24時間後には700万ヴューに達した。
対決に挑んだ、若者に人気のユーチューバーコンビは、前回の大統領選では極右政党反対のビデオを作ったり、人気俳優らが作成した気候変動危機を訴えるビデオにも出演。肉体系のチャレンジ番組にも出演するが、コロナ禍の医療関係者への募金キャンペーンなども行い、政治的、社会的にも笑いの力で踏み込む。
彼らの人気に目をつけたマクロン大統領が、この2月、「コロナ感染防止のジェスチャー〈ジェスト・バリエール〉の大切さをアピールするをテーマにしたビデオを作り、ヴュー(閲覧)数が1千万回に達したらエリゼ宮に撮影に招待したい」と挑戦ビデオメッセージを発したことに端を発する。二人は大統領の挑戦を受けて立ち、歌を自作自演。”Je me souviens” クリップビデオのヴュー数1千万を48時間で達成した。
対決は、同コンビおなじみの「体験談バトル」。ふたりが有名人を招待し、交互に「体験談」を語る。もっともらしくかつ嘘っぽく、ポーカーフェイスで語る相手の話が、実話か嘘かを見極めればポイントが得られる。大統領は携帯からサッカー選手キリアン・エムバペに電話をしたり、外遊中の話を織り交ぜ、いっぽうユーチューバーは自分たちの極限の撮影体験や、交通違反の罰金を逃れた話などで、双方4話ずつ。勝負は引き分け。
野党からは、来年の大統領選をにらんだ「マクロンの若者の票田ねらい」、「コロナ禍を利用して人気集め」などの批判の声が上がっている。それ以外の何物でもなく、かつマクロンもユーチューバーも相手の人気の恩恵を受けたwin&winオペレーション。しかしノンポリの若者の視線を大統領府に持ち込んだのも事実だ。