パリを一周していた鉄道、ラ・プチット・ サンチュール。
パリの街を囲む環状道路のすぐ内側のあちこちに、古びた鉄道線路が残されている。これは1852年から58年に敷設され、1934年まで旅客列車が走っていた環状鉄道「ラ・プチット・サンチュール」の跡です。
その後も一部続いていた貨物列車の運行も、1993年に停止され廃線。全長32kmの路線のうち、北西部16区・17区の一部はRER・C線に使われ、廃駅のいくつかはレストランなどに転用されているが、大半の線路や駅が取り壊されたり、そのまま放置されたりしていた。
ここ数年、このラ・プチット・サンチュールの線路跡を散歩道や市民農園として整備し、廃駅を改装して再利用しようという計画が少しずつ進められています。
13区や15区には、すでに線路沿いの散歩道ができているし、13区や14区では、修復・改装した廃駅を核にした住民のための文化施設の建設が進んでいる。
この写真は12区の南西、線路沿いの静かな通りヴィラ・デュ・ベレールから入る、ほぼ当時のままの線路。黒いレールに沿って枕木の上を歩くと、どこか遠くの知らない町に向かっているような気がしてくる。と言っても、わずか400mほどの区間なのだけれど…。(稲)
(→次ページから、16区のAuteuil Boulogne 駅を起点に、時計周りに歩きます)
取材・文・写真:稲葉宏爾
Texte et Photos / Koji INABA