パリのバゲットコンクールで優勝し、大統領府のパン屋さんになったマフムッドさんの1年。
ラスパイユの並木道にまだ人もまばらな、朝6時ちょっと前。マフムッド・ムセディさんがバゲットを持って工房から出てきます。これからバスケットを車に積んで、エリゼ宮への配達に出発です。昨年パリのバゲットコンクールで優勝してから1年間、毎朝3時半に起きてパンを焼き、20本のバゲットを大統領府に届けてきました。「エリゼ宮に配達するのが毎朝、大きな誇り!」と、賞をもらったばかりのような満面の笑顔。
2017年のコンクールで7位だったのに満足がいかず、その後1年間、生地のこね方や発酵の研究を重ねて翌年のコンクールに臨み、みごと優勝したのでした。
マフムッドさんの人生は変わりました。パリの一番おいしいパンを食べようというお客さんが3割ほど増えたし、若者に人気のテレビ番組に呼ばれたり、そして日本に招待され、10日間、4都市を周る旅から帰ってきたばかり。エリゼ宮へバゲットを配達するところを写真やビデオで自撮りしてSNSに投稿できるのも、もうすぐ終わり。でもこれから先、さらにいろいろなことが、マフムッドさんを待っていそうです。(集)
● Boulangerie M’seddi :
215 bd Raspail 14e
● Boulangerie Maison M’seddi:
171 rue de Tolbiac 13e
今年のバゲットコンクールには、審査員として参加しました(最優秀賞に輝いたら、4年間はコンクールに参加できません)。今年はなんと、パン職人のお父さんも参加したそうです。とはいえエントリーしたバゲットは、228本。すべてに数字がふられているので、審査は公正です。お父さんのバゲットは、今回は残念ながら受賞しませんでした。