フランスに住む人が日本の家族・友人から小包を受け取る際、以前は無料だったのに、関税・TVA(付加価値税)や手数料を配達業者から請求されたという体験をした人がいるのではないだろうか。年末年始は贈答の季節……7月から変わった新課税制度をおさらいしてみよう。
商品輸入には1ユーロから課税
中国などアジアのネットショッピングで安い商品を買う(輸入する)ヨーロッパ在住者が増えたことを受け、欧州連合(EU)は、EU域外からEUに入る商品に1€から課税するEU指令を今年7月から適用するようになった。フランスに輸入する商品の場合、6月までは商品価格22€まで非課税だったのが、7月からは1€からTVAが課税されるようになった。150€以下の場合は、商品価格に対してTVAが原則20%(本は5.5%など、商品によっては低税率)、150€を超える場合は、商品価格+輸送料+保険料の合計に対して上記TVAと関税(商品の種類によって最高12%。課税されない商品もある)がかかる。しかも、それに通関手続きをする輸送業者の手数料も上乗せされる。ネットショッピング大手では「輸入税等前払金」などとして、TVA・関税・輸送業者手数料を購入時に一括請求するところもあるが、そうでない場合は、商品を受け取る人が配達時にそれらの支払いを配達業者から求められる。
個人から個人への贈り物は?
ネットショッピングでなく、家族や友人らからの贈答品はどうなるのか? 日本から送る際に「贈物(Gift)」と明記すれば原則的には「商品でない」個人間のやり取りとみなされる。その場合は、品物の価値が45€以下であればTVAも関税もかからない。45€超~150€は品物の価格に対してTVAが原則20%(品目により低税率あり)かかる。150€を超える場合、品物の価格+輸送料+保険料の合計に対してTVAと関税(「商品」の場合と同様)がかかるのは上記の「商品」と同様。輸送業者の通関手続き手数料が加算されることも「商品」と同じで、品物の価値が45€を超えると、TVAおよび/または関税+輸送業者の通関手数料を配達業者から請求される。税関によると、この45€の免税ラインは7月1日以前と変わっていないのだが、以前は輸送業者が税関への電子申告を義務付けられていなかったので申告しないケースも多々あったが、7月からは申告が義務付けられたので規則が厳密に守られるようになったのだという。個人か企業か見分けがつかない場合は原則として「商品」とみなされるそうだ。
例えばラ・ポスト(仏郵便局)は送り状ナンバーなどにより、配達前のオンライン支払(手数料割引あり)を奨励している*。通関手数料は輸送・配達業者が自由に設定できるので、業者によっては高い手数料を請求されるので注意が必要だ。
*https://www.laposte.fr/comment-payer-frais-de-douane-colis-international