ヴェルサイユ・バロック音楽センターとフランス・ミュージック(ラジオ)は、ヴェルサイユ宮殿「シャペル・ロワイヤル~音楽と音楽家たち~」全6話をウェブで公開。展覧会 Exposition + ポッドキャスト = Expodcast 」という新しい形態で、ナレーションを聴きながら同センター所蔵の豊富な資料、ビデオなどを見る。今後、1年に一回のペースで日英2カ国語で続けていくという。
フランス絶対王政のもと花開いたフランスのバロック音楽。礼拝、昼食、狩猟、夜の娯楽、就寝など、日々の生活の節目や、宮廷をあげての儀式などに、それぞれ音楽が奏でられていたという宮廷の日常を垣間見ることができる。
「シャペル・ロワイヤル 王室礼拝堂」といえばルイ14世がジュール・アルドゥワン=マンサールに造らせた城内の礼拝堂(冒頭写真)だが、王室にはお抱えの作曲家、演奏家などを擁した「シャペル・ロワイヤル」楽隊があり、研究所のような役割も担っていた。
楽隊は王室と同様、長い間ホームグラウンドを持たず、サン=ジェルマン・アン・レー城、シャンボール城など他の城、そして戦場まで、王が移動すればお供をして演奏していた。ルイ14世は1682年にヴェルサイユに居を構えると、城内5つめとなる礼拝堂を造らせてその楽隊の拠点とした。その後20年間で、ヴェルサイユの音楽が成熟した。
当時宮廷には200人ほどの音楽家が常駐していたという。礼拝の音楽を「シャペル(王室礼拝堂)」、オペラや娯楽の時の演奏は「シャンブル 室内楽」、狩猟の際には「グランテキュリ 大厩舎」と宮廷の楽団には3つの部門があった。朝10時からのミサのために、デュ・モン、ロベール、リュリ、ラランドらが「モテ」を次々と作曲し「シャペル・ロワイヤル」が演奏し歌った。夜は王のアパルトマンで、天気が良ければ週に3晩、舞踏会や、演劇などが行われた。宮殿内でもビリヤード、室内楽が奏でられた。
しばしのヴェルサイユ音楽の歴史探訪。王の取り巻きのなかに紛れ込んで、宮廷で音楽を楽しめるような番組だ。
https://expodcast.cmbv.fr/fr/musique-et-musiciens-a-la-chapelle-royale-de-versailles/la-chapelle-royale-joyau-de-la-musique-du-roi