芯があって素直な主人公が成長する姿に、共感がわく。

©Alfama Films

『 Tous les rêves du monde 』

 今を去ること20余年前『 Les gens normaux n’ont rien d’exceptionnel/おせっかいな天使 』という映画との出会いは、筆者の個人映画史になにがしかを刻んだ。

 それは、今や女優としても監督としてもひとかどの存在となったヴァレリア・ブルーニ=テデスキが演じた不安定な女性の、他者や世間との危うい関係作りを描いた作品だった。演じているとは思えないヴァレリアの演技の真実、それを繊細な視点で受けとめる監督、ロランス・フェレイラ = バルボザ。

 この監督の久方ぶりの新作『Tous les rêves du monde/世界のすべての夢』も『おせっかいな天使』のように、監督と主演女優の共鳴の上に成り立っているように思える。まず、ヒロインのパメラ(パメラ・ラモス)のふくよかな体型がなんか魅力的だ。

 バカロレアを2回すべって、親が固執するので3回目の挑戦。しかし本人にはもう余り意欲がない。パメラは内気だけど芯が通っていて、あるがままの自分を素直に受け止めている。ある日、大好きなフィギュアスケートのレッスンに行く途中、バスの中で中学の同級生に再会。ケヴィンはパティシエの修業中、来週から東京へ行くという。彼は彼女が以前から好きで告白にいたるも、パメラはやけに冷静な反応。たぶん嬉しいのだろうけど、はしゃいだりはしないところが彼女らしい。パメラの家族は両親がポルトガルからの移民で、故郷で過ごす夏休みをとても大切にしている。

 監督自身、ポルトガル移民2世。一度はこのコミュニティのことを映画にしたかったという。2つの文化を自分のものにして育ったパメラ、夏のポルトガルで同じコミュニティ育ちで喧嘩別れしていたかつての親友と再会する。自分とは正反対のクラウディアの窮地を救うことでパメラ自身も成長してゆくというのが後半のストーリーだが、いつもパメラらしくあるところがとっても良くて、すごく共感できた。(吉)


 

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