旬の素材を活かした、 北イタリアのやさしい家庭料理。

 メトロ、ヴォルテール駅のあるレオン・ブルム広場の喧騒とは無縁に、たった1本裏に入った道に、ヴェネチアに住んでいたことのあるイタリア人の友人が「料理も人も素晴らしい」と讃えたお店がある。店名のbacaroは、チケッティと呼ばれるつまみとともに軽く一杯楽しむ、ヴェネチアに特有のタパスバーのようなもの。けれどもここでは、シェフのエレオノーラが腕をふるって作るヴェネチアの本格的な家庭料理を味わえる。

 お昼のランチは、メニューに星印が記載のメインから1品とサラダのセットで12,5€。「本日のリゾット」や、手打ちパスタに豚の頬肉の煮込みを絡めたビゴーリ、クミン風味のソーセージ煮込みのリガトーニパスタ、ウサギのレバーのポレンタなど、地方色の強い料理がいっぱいだ。レバーは酢にマリネしたものをタマネギのコンフィとともに軽く火を通した典型的なヴェネチア料理の fegato alla veneziana。ポレンタもまた、北イタリアで広く食される料理で、初めてこうしたとろっとろに調理されたポレンタを食べた時は、目からウロコが落ちた。レバーのコクとタマネギの甘み、ポレンタのやさしい味を引き締め、絶妙にまとめているのがマリネの酢がもたらすほのかな酸味で、そこにイタリアの肉料理に欠かせないセージで香り付けしている。シンプルでいて、秀逸だ。

 単品で前菜に取ったcrostini di peverada(7€)は、鶏のレバー、ひき肉、アンチョビにレモンとパセリを混ぜて作るヴェネト州のペーストをカナッペにしたもの。一見バラバラになりそうなそれぞれの具の味が、レモンとケッパーによって見事にまとまっていて感嘆する。

 このクオリティで、10€を下回る前菜だったり、価格設定はあくまで良心的。そんなところに、bacaroの精神が生きているのだなと感じた。(み)


il Bacaro

Adresse : 9 rue Auguste Laurent, 75011 Paris
TEL : 01.4379.1666
アクセス : M° Voltaire
URL : www.ilbacaroparis.com
火〜金 12h-15h / 19h30-23h30 日月休、土は夜のみ