料理、とにかく食べることが好き。

Q:ちなみに生まれた年は?

西畑:昭和51年、1976年です。

Q:昭和でお答えいただけて嬉しかったです(笑)。

西畑:僕らは殴られても何も言えない最後の世代です。昔はそういうことが当たり前だった。でもそのあとに出会ったシェフはそういう風習が好きではないすごくいい人で、5-6年一緒に仕事をさせてもらいました。そのシェフもかつてはずいぶんとしごかれて、自分は暴力が嫌いだと思ったらしいです。ただ肉体的な暴力はなくても職場での言葉はきつかったです。まあ立派になろうという人にはそういうことは当たり前なのかな、という気持ちは僕にもありました。

Q:今はもっと柔らかく、優しく接する?

西畑:優しいし、柔らかいでしょうね、やっぱり。

Q:でも人が育たないし残らない、という方もいますよね。しごくというか鍛えられるということでみんな先鋭されていくということはありますし、そこでやはり振り落とすということにもなるとどなたかから聞きました。

西畑:それはそうです。ただ僕も暴力は嫌いですし、しかも怒ると大阪弁になってしまうので。

Q:今でも?

西畑:まあそうですね。東京の人にはそれが怖いのかもしれないです。

Q:その暴力が嫌いなシェフのお店で働かれた後は?

西畑:シェフの店というよりも、彼が店を移る時に一緒に店を変わるという感じで、しかもシェフが仕事をしていない時には他の店を見てくれば?と言われて一人で修行に行く、というようなことをしていました。

Q:日本国内で?

西畑:そうです。そうして自分から行った店で出会った別のシェフにスイスを紹介してもらいました。その時に僕は29歳ぐらいだったのかな。

Q:スイス?

西畑:ええ、Neuchâtelヌーシャテルという街にある、和食とフレンチを混ぜたようなお店です。

Q:フランス語圏ですね。

西畑:そうなんです、フランス語圏だから言葉を覚えられるだろう、そこから何か繋がればいいなという気持ちで行きました。田舎すぎていいところでした。何もできない、電話も携帯もない 、3ヶ月ぼーっとしていました。なかなかビザが下りなくてぼーっとして、ビザが下りて1年ぐらい働いた後にフランスへ来ました。

Q:それはやっぱり料理の本場がフランスだからということですか?

西畑:「フランスに来たい」という気持ちがまずありましたから、スイスの次はフランスだよな、と思って知り合いを伝っていったら今の店の系列Fontaine de Marsという店を紹介してもらいそこで働かせてもらったんですが、ビザを取って日本から戻って来たらFontaine de Marsには人手が足りているというので、系列店のCafé de l’Almaで働くことになって結局5年いました。その店のシェフには本当に良くしてもらって、彼が独立するというのでついて行こうと思っていたんですが、まったく同時期にCafé de l’Almaがこの店を出すというのでという話をもらって、結局こちらにシェフとして来ました。

Q:そもそもフランスへ来たいと思ったのはいつからですか?

西畑:東京にいた時に僕らの上、先輩たちの世代まではビザなしでも来れたというか、フランスに来るのがそれほど難しくなかった。ところがワーキングホリデーという制度ができた、にもかかわらずコックさんは取れないという話もあったギリギリの世代が僕らです。僕は取れませんでした、でも先輩が「フランスはねえ」「一度はフランスに行かないとね」というような話をするのでフランスには行きたかった。

Q:ということは、銀座のお店、5-6年一緒だったシェフもフレンチだったんですか?

西畑:そうです。フレンチですけれども、世話になった2人目のシェフは「あちこち見てこい」と言ってくれたのでイタリアンとかメキシカン、ドイツ料理の店などにも働きに行きました。

Q:その当時も一番流行っていたのはやっぱりイタリアンですよね?

西畑:はい。簡単、シンプルという意味でイタリアンは僕にとっていい勉強になりました。楽しかったし。

Q:それでもフレンチ、ということは何が面白かった?

西畑:イタリアンだと素材さえ良ければ何もしない、頑張らなくていいんです。でもフランス料理というのは何かしなきゃいけない。この素材をこのまま出せるか?というと出せない。そこでどうにか美味しくしよう、何が足せるか?というのがフランス料理だと思います。でも僕は、他の方と違ってガストロノミー(美食)を目指すのではなくビストロ(もっとカジュアルな料理)をやりたいので、素材さえ良ければいいんですが、たまに出会う良くない素材をどう工夫するかというのが僕にとっては面白かったです。

Q:良くない素材というのはたとえばどういうもの?

西畑:何でしょうね、モノがよくないやつとか味のないものとか。いい素材があっていい料理が作れるのは当たり前じゃないですか。そうではなくて、普通に売っている安いものを使いながら驚くものに変えるという、アレンジというか魔法が面白いです。庶民の、そこらへんに売っているものを使ってコックさんにしかできないものを作る。あとは、僕はもうシンプルなものが好きなので、やっぱりこの国では肉を焼いただけでも十分美味しいじゃないですか、それ以上素材の良さは潰さないようにしたいな、と思います。

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