反ユダヤ主義の風潮がフランスで高まっている?

リベラシオン紙2月13日付

 フランスで反ユダヤ主義台頭の危惧が高まっている。「黄色いベスト」運動の一部の人の言動や、2006年に拷問死したユダヤ人、イラン・ハリミさんを偲んで植樹された木が切られたり、シモーヌ・ヴェイユの肖像画やユダヤ人墓地の墓石に鉤十字が落書きされるなどの犯罪が2月中旬に相次いだ。

 黄色いベスト運動に混入する極右活動家が、反ユダヤ的スローガンを公然と口にすることは以前から指摘されていた。金持ちの味方と揶揄(やゆ)されるマクロン大統領がロチルド銀行勤務の経験があることから、マクロン批判が「金持ち=ユダヤ人」という図式でユダヤ人嫌悪に結びついた面もあるとメディアは分析する。また、16日に哲学者アラン・フィンケルクロート氏に反ユダヤ的発言をして逮捕された男性が過激思想を持つムスリムだったように、イスラム過激思想にも反ユダヤ主義がある。

 こうした事件を受けて、カスタネ―ル内相は18日、反ユダヤ主義的行為・脅迫の届出が2018年は前年比で74%増加(541件)だったと警鐘を鳴らした(ピークは04年974件)。19日にはパリで反ユダヤ主義を非難するデモに各政党の重鎮を含む2万人が参加し、「もう、たくさん!」と叫んだ。

 こうした危機感を受けて、国民議会議員30人が「反シオニズム」を罰する法改正を提案したが、政府の反対で国会の決議にとどめる方針に変えた。大統領も「反シオニズムの刑罰化は解決策ではない。イスラエルの政治を批判する反シオニズムと反ユダヤ主義とは別物」とした。だが、20日の仏ユダヤ人組織代表評議会の夕食会のスピーチでは、反ユダヤ主義の定義に反シオニズムも含めるようにすると発言。ただ、警察や司法官などに向けた勧告であり、刑法は変えないという微妙な立場をとった。実際、ユダヤ人に対する反ユダヤ的言動と、ユダヤ人国家建設運動やイスラエルの領土拡大政策を指すシオニズムは本来別物である。だが、刑罰を避けるため、それを反シオニズム的な言葉に置き換える傾向が近年あると専門家は指摘する。

 反ユダヤ主義の傾向は、ユダヤ人人口が欧州最多のフランスだけでなく、欧州全体に共通している。欧州12ヵ国のユダヤ人16,000人を対象とした調査ではこの5年間で反ユダヤ主義が高まっていると回答した人は89%、実際に被害を受けたとした人は28%。経済危機や社会情勢不安から極右ナショナリスト政党が各国で台頭する「分断の時代」に欧州は直面している。不安定な時代に反ユダヤ主義が高まることは歴史も証明している。(し)


 

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