『カメラを止めるな!』日本の社会と映画界の〈現象〉。

©Koch Films

『カメラを止めるな!』

 4月24日にフランスでもついに一般公開されることになった『カメラを止めるな!』は昨年の日本映画界を席巻し、一つの社会現象となった。製作費3百万円という超低予算映画が最終的に31億2千万円の興行収入をはじき出すという大快挙を成し遂げたのである。筆者も昨夏帰省中についついその勢いに煽られて半信半疑で劇場へ。整理券の出る混み混み状態、もう上映前から館内は期待で盛り上がっていた。

 スプラッター・ゾンビ・ホラー映画が始まった。B級感溢れるちょっと陳腐な作品で、やっぱりなぁとか思っていると「最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる」のキャッチ通りの展開になっていく。

 そもそもこの映画は、ENBUゼミという東京にある映画演劇学校のワークショップの一貫で製作された上田慎一郎の監督作。当初から監督がひたすらSNSで作品紹介を拡散したのが大ヒットの種まきとなったという、いかにも今どきな成功例だ。ここで伝播された「ネタあかしをしてはいけない」という掟がよく守られていて、筆者も後半がどう展開してゆくのかまったく知らなかった。

 この後半が傑作なのである。ここから先を書くと「ネタあかしをしてはいけない」掟を破ることになるのだが、ま、ディテールを書かなければ良いか……一言で言えば、後半は前半のホラー映画のメイキングオブなのである。さっき観た映画の撮影中に画面の外で起こっていたことを見せるのである。これがもう抱腹絶倒。あ、さっきのちょっと不可解なシーンは実はこういう事情で撮られたのか、といったタネ明かしがつづく。そして最後は、特に映画の現場を経験したことのある者は熱くなるのだ。映画の裏方を経験したことのない人も、映画の作り手の執念と異様にエスカレートするハイ状態を疑似体験する。一種の映画愛に溢れた作品だ。

 仏題は『Ne coupez pas!』。公開館数が少なく上映時間もイレギュラーなので事前のチェックが必要です。(吉)

 Studio Galandeにて上映。日によって上映時間が違いますのでご注意。www.studiogalande.fr/

 

 


 

パスワードをお忘れの場合、OVNINAVI.COMに登録したE-mailアドレスにパスワードをお送りします。登録E-mailアドレスを入力してください。


戻る