「料理、普段の美味しいもの」

松根晶子さん(46歳)

 料理は子供の時から好きで作っていたけれど、短大を卒業してから専門学校へ入り直して料理人を目指したという松根さん。専門学校時代に「若いうちに店を開きたい」という周りの仲間たちの言葉を聞いて、松根さん自身も27歳を目標に自分の店を持てるか、料理で身を立てられるかを決めようと思ったという。学校や本場フランスで習った料理ではなく、東京で働いた店でカジュアルなフランス料理に開眼したことと、同時にその店で働いていたオーヴェルニュ地方出身のフランス人男性との出会いが、今の松根さんの根底にある。第一子を授かった1990年代の終わりにパリへ。「やるしかない」と15区で夫と始めた店の厨房に立ったのが、目標にしていたまさに27歳の時だった。3人の子供を出産した後に13区、そして1区にある今のお店まで松根さんを引っ張ってきたのは「いつも同じことをしてきた」という毎日の生活と気取らない家庭料理だった。

 15区、13区のお店よりも立地条件ははるかにいい今の店ではあるが、2015年11月に起きたテロ事件にはさすがに大きな打撃を受け、その直前に開いた第2号店も結局は閉めなければならなかったという。「レストラン業も水商売」、不安定な部分が多いからこそ地にしっかりと根を下ろさなければならない。だから松根さんは朝から晩まで厨房に立ちながら、時間を見つけてはコロッケや煮込みなどの惣菜、大福などを口コミで増えつつあるファンに作り、分けているという。松根さんの働き者の手を見ながら、私は「毎日の」「普通の」「手作りの」という言葉を頭の中で反芻していた。(海)

インタビュー全文は次のページに:

ページ: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10


L’Auberge Café

Adresse : 4 rue Bertin Poirée, 75001 Paris
TEL : 01.4329.0122
月夜と日休