Chou farci
レストランで黒板のメニューにのると、三分の一くらいの客が注文するという人気料理シュー・ファルシ(ロールキャベツ)を作ってみよう。シュー・ファルシはだいぶ前にも書いたことがあるが、今回は一人当たり1個くらいの大きさに作り、ソースも別に作らないレシピです。今が旬の、葉が縮れている緑色の大キャベツを買ってくる。キャベツで包む豚のひき肉は、どの肉屋にも置いてあるchair à saucisse というひき肉を使うことにした。
キャベツの外側の固い葉をはがしたら、芯のまわりに深い切り込みを入れ、葉がやぶれないように慎重に一枚一枚と葉をはがしていく。5個作るので(1個は食いしんぼう用です)、1個につき葉を3枚、合わせて15枚ほしい。大鍋にたっぷり水をとり、沸騰させたら塩少々を加え、キャベツの葉がしんなりするまで5分ほどゆで、冷水にとり、パソワールにあけて水気を切っておく。
次はタネの準備。玉ネギをみじんに切る。ニンニクはできるだけ細かくみじんに切る。パセリもみじん切りにするのだが、大さじ3杯分はほしい。ボウルにひき肉をあけ、玉ネギ、ニンニク、パセリ、耳を切りとった小さなさいの目に切った食パン、卵を加える。軽く塩、そして多めにコショウをひき入れ、手を使って丹念に練り混ぜる。
最初は、小さめの葉を置き、その手前にタネの5分の一を10センチちょっとの長さの筒状にして置き、葉の左右を巻き込む用にしながら包む。次は中くらいの葉で同じように包み、最後に、外側の方にあった大きな葉で包み、楊枝を2、3本刺しておく。
ココット鍋に油をとり、5ミリの厚さに輪切りにした玉ネギとニンジン、細い棒切り状のベーコンをしばらく炒め、チキンのブイヨンを注ぎ、濃縮トマト、ローリエの葉を加え、沸騰したらロールキャベツを重ならないように並べ、ふたをし180度で熱くなっているオーブンに入れる。40分から45分ででき上がり。
熱々を各人の皿に盛りつけ、すっかり柔らかくなったニンジンと玉ネギを添え、煮汁をかければ、冬ならではのごちそう!この物価高の中、財布にもやさしい。(真)
4人分:緑キャベツ1個、豚のひき肉400g、玉ネギ小1個、ニンニク4片、パセリ適量、食パン2枚 (あるいはごはん大さじ2杯)、卵1個、塩、コショウ
ブイヨン:玉ネギ1個、ニンジン4本、ラルドン lardons fumés 150g、チキンのブイヨン600cc (キューブを使うなら、水600ccにキューブ1個を溶かす)、濃縮トマト double concentré de tomate 大さじ1杯、ローリエの葉1枚、油。
Chou farci en casserole
今回のレシピ、「ココット鍋も、オーブンもないからなあ」とあきらめてはいけません。底が広い鍋、あるいは鍋二つを使えばいい。作り方は、今回のレシピと同じだけれど、ブイヨンを作るときに、鍋二つなら、同じ分量を二分して用意するだけ。落としぶたのかわりに、アルミホイル、あるいは鍋の形に合わせて切ったクッキングシートをキャベツの上からかぶせ、きっちりとふたをして、最初は中火にかけ、沸騰したら弱火にして1時間ほど火を通す。
Choux
秋から春にかけてが旬のキャベツ。葉がみっしり詰まって球形に近いもの chou cabusと葉が縮れたものchou friséの二種類がある。前者には、日本のキャベツそっくりのchou blanc、紫キャベツ chou rougeがあり、そのまま細く切ってサラダにしたり、下煮してからバター炒めしたりする。
シュークルートは、chou blanc を漬け込んだものだ。縮れ葉は chou de Milanともいい、サラダよりも、下煮してから時間をかけて煮込む料理に向いている。「くさい!」とキャベツが苦手のフランス人がかなりいる。下煮するのは、そのにおいをとるためでもある。
Chair à saucisse
フランスの肉屋は豚肉をひいてくれない。から、豚肉の好きなところを買ってきてブレンダーでひくことになる。ブレンダーがなかったら肉屋やスーパーで手に入るchair à saucisseを利用するのだが、一般的に三枚肉などの脂っぽいところをひいたものだ。
牛のひき肉と混ぜてハンバーグにしたり、パン粉をまぶしてから揚げて肉団子にしたり、きざんだ玉ネギやパセリを混ぜ入れてトマトやクルジェットのファルシに使ったり、便利な食品だ。塩少々が入っていることがほとんどなので、塩加減はひかえめに。