Collection René Scholten – Estampes japonaises anciennes et Shin-Hanga
パリ市営オのークション会場「オテル・ドゥルオー」で、オランダのルネ・ショルテン氏のプライベート・コレクションの中から、浮世絵と新版画の名品160点以上が10月16日、競売にかけられる。ショルテン氏はニューヨークのギャラリー「ショルテン・ジャパニーズアート」のオーナーで、80年代に新版画の収集を始め、次第に浮世絵までコレクションの範囲を広げた。パリで開催されたさまざまな浮世絵展や日本美術展で目にすることがなかった作品を、オークションに先立つ3日間の一般公開で見ることができる、滅多にないチャンスだ。想定価格1000ユーロ以下のものもある。思い切ってオークションに参加して競り落とすのもいいだろう。オークションは誰でも参加可能だ。
大物浮世絵師の作品が、多数出ている。喜多川歌麿は、鏡の前で化粧をする女性など18点。鈴木春信は、恋文を火鉢で焼く花魁など9点。初代歌川豊国は歌舞伎や人形浄瑠璃の演目である「妹背山婦女庭訓」の一場面を描いた作品を含む4点。初代歌川広重は「江戸名所」シリーズ、「東海道五十三次」シリーズを含む6点。歌川国貞は「今昔歌舞伎名優」シリーズを含む18点。その他、菊川英山や一楽亭栄水の優れた美人画などが出る。幕末から明治にかけて活躍した月岡芳年の、白猫を抱く女性像が愛らしい。芳年が、歌舞伎の演目「桜姫東文章」を題材に描いた「清玄堕落之図」にはただならぬ雰囲気が漂う。芳年は7点出ている。
〈新版画〉の逸品も
これだけでも素晴らしいが、さらに〈新版画〉の逸品が続く。新版画は明治30年代以降、昭和にかけて、浮世絵と同じく、絵師、彫師、摺師の分業で制作された木版画だ。明治時代、安い写真や石版画に押されて浮世絵が衰退していく中で、浮世絵に魅せられて木版画の技術を学ぶために来日したチェコの版画家、エミール・オルリックや米国の版画家ヘレン・ハイドらとの交流を通じて、日本人が浮世絵の価値を再確認した。こうしてできたのが浮世絵を近代化させた新しい木版画「新版画」で、海外で高く評価された。海外目線を意識しているため、海外でウケそうな日本的な情緒が漂う作品が多い。橋口五葉や伊東深水の化粧をする女性や湯浴みの女性像には、控えめなエロティスムが漂う。風景画の吉田博の上海風景、パリのギメ美術館での日本美術展でも出た川瀬巴水の懐かしい日本の風景も忘れ難い。五葉は5点、深水7点、吉田博6点、巴水は16点と、数も多い。
オークション前に実物を見ることができる〈Exposition〉では、12点がガラスケースに入って展示されている。全作品が出ているカタログを見て、実際に見たいものがあれば、会場在中の担当者に頼めば見せてもらえる。(羽)
★Collection René Scholten – Estampes japonaises anciennes et Shin-Hanga
Hôtel Drouot (Salle 2) 一般公開
10月14日(月)11h-18h
10月15日(火)11h-20h
10月16日(水)11h-12h
★オークション10月16日(水)
住所は下の地理情報をご覧ください。
HÔTEL DROUOT - Salle 2
Adresse : 9, rue Drouot , 75009 Paris , FranceTEL : +33 (0)1 48 00 20 00
アクセス : Richelieu-Drouot
URL : https://drouot.com/fr/hotel-drouot https://drouot.com/fr/hotel-drouot/actualite/99357-trois-siecles-d-histoire-de-l-estampe-japonaise-collection-rene-scholten