Truite aux amandes
魚屋でいつでも手に入るのがニジマス。養殖されたものだから値段もキロ12€前後と手ごろだし、その柔らかな身は火を通してもくずれにくいし、調理もむずかしくないし、大いに利用したいものだ。今回のレシピはニジマス料理の定番だけれど、レモン風味のバターソースを添えるという決定版です。
ニジマスを4人分で4尾買ってこよう。ほとんどがハラワタをとってあるけれど、冷水で腹の中をよく洗って血を丁寧にとり、キッチンペーパーでよくぬぐう。皮の表面のヌルヌルもよくぬぐったほうがいい。このへんでアーモンドを煎ることにする。スライスアーモンドを重ならないように天板に広げ、180度で熱くなっているオーブンの中段へ。数分、といっても、目でときどき確かめつつ、軽く色がついてきたらオーブンから出し、こわれないように慎重に大皿にあける。
次はソース。鍋にバターをとって弱火にかけ、とけたらマスタードを加え、均一になるまで混ぜる。生クリームとレモンのしぼり汁を加えて混ぜ合わせ、少々煮詰めてとろりとなったら、塩、コショウ。みじんに切ったシブレットを散らし、適当な器に入れ、冷めないように湯せんしておく。
これで準備完了、ニジマスを焼くことにしよう。ボウルに牛乳をとる。大きめの皿に小麦粉を入れ、塩、コショウ適量を加えて混ぜ合わせ、広げておく。ニジマスを、ハラワタのあったところに塩、コショウしてから、牛乳にさっと浸し、薄く小麦粉をまぶし、余分な粉をはたいて落とす。4尾を一度に焼けるような大きめのフライパンにバターと油をそれぞれ大さじ2杯とり、中火にかける。熱々になったら魚を並べる。5分ほど焼いてきれいな焼き色をつけたい。フライ返しなどで慎重に魚をひっくり返す。もう片面にも焼き色がついたら、熱くしておいた皿に盛りつける。アーモンドを散らし、付け合わせのゆでたジャガイモを脇におき、ソースを添える。ワインは香り高いサンセールの白にした。(真)
4人分:ニジマス4尾、スライスアーモンド50グラム、牛乳1カップ、小麦粉大さじ4、5杯、バター大さじ2杯、油大さじ2杯、塩、コショウ
ソース:バター大さじ2杯、液状生クリーム200cc、マスタード大さじ1杯、レモン1個、シブレット適量、塩、コショウ
Truite
ニジマスはほとんどが養殖もの。ちょうど一人分になる250グラム前後の、形のそろったものが魚屋に出る。手ごろな値段で川魚の香りを楽しめるのがうれしい。生けすに泳いでいるニジマスを売っている魚屋もたまにある。そんなときは、買ったら急いで家に戻り、ハラワタを抜いて、さっと水洗い。用意しておいた白ワインやビネガー入りのクール・ブイヨンを熱し、7分ほど煮れば、アルザス地方などの名物料理「Truite au bleu」。ゆでたジャガイモを付け合わせにし、今回のレシピのソースを添えるといいだろう。
Amande
フランスで消費されるアーモンドは、大部分がスペイン、イタリア、マグレブ三国から輸入されたものだ。そういえばモロッコに行ったときに、アトラス山地からの渓流が流れている脇で、女性がそろってアーモンドとりをしている光景に立ち合ったことがある。6月、7月に、若緑色のビロードのような柔らかな皮に包まれた生アーモンドが八百屋に出ることもある。皮と殻をとると、ツルンとなめらかな白い実がでてくる。ミルキーで軽い甘さをもった旬の味だ。
とはいえ消費のほとんどは乾燥アーモンド。丸ごとamande entièreは、軽く煎れば、おなじみのアペリチフのおとも。マグレブ料理のタジンにも欠かせない。こんなときは茶色い渋皮をむきたいけれど、1分ほどゆでるとおもしろいようにむけるものだ。これを水(あるいは牛乳)に漬けて1日ほどおいてから味わうと、生アーモンドのおいしさに戻る。 今回のレシピに使ったスライスされたものamande effiléeは、ビスケットに加えたりなど、さまざまなデザートで活躍する。粉アーモンドamande en poudreは、マカロン作りの主要な材料だし、お正月のガレット・デ・ロワに入るフランジパンというクリームにも欠かせない。