Maison de l’Outil et de la pensée ouvrière(MOPO)
道具に宿った職人の熱が感じられる博物館。
「道具と職人思想の家」
1556年築の旧孤児院「モロワ館」の中にある道具博物館の正式名称は「道具と職人思想の家」。単に道具を見せるのではなく、道具を通して職人の魂や伝統文化を伝えることを目的としている。大小さまざまのノコギリ、やすり、コンパス、ヤットコ、槌、万力、こて、斧、定規といった17~19世紀の職人の道具1万2000点を展示。たとえば百点以上の “こて”が並ぶさまは独特の迫力があって圧倒される。
道具の種類別の展示のほか、大工、石工、鍛冶屋や、樽、籠細工、屋根葺き、組み紐、織物、靴、手袋など職業ごとの道具が区別され各ケースに展示されている。所蔵品の3分の1はイエズス会の司祭で職人仕事に心酔したポール・フェレ(1913-79)、残りは以下に述べるコンパニオン・デュ・ド・ドゥヴォワール=ツール・ド・フランス(AOCDTF)から。
トロワは早くから職人組合であるコンパニオン結社(875号参照)が発達した町で、史料に初めて表れたのは15世紀(トロワの靴職人組合宛てのシャルル6世の1419年勅令)だが、それよりずっと前からトロワの職人組合は十字軍遠征で有名なテンプル騎士団や、欧州各地に多数の教会を建てたシトー修道会のために働いていたとされる。1966年にこの建物を買い取ったトロワ市は69年にAOCDTFに建物の修復を条件に道具博物館とすることを許可した。職人組合のメンバー(コンパニオン)認定審査のための作品も数点展示されている。
博物館には資料センター(図書館)が併設されており、職人仕事・技術関係の3万2000点の書籍・文書を所蔵。古いものは、18世紀後半のディドロらの百科全書35巻、欧州最古の建築理論書である古代ローマの建築家ウィトルウィウスの『建築について』(De Architectura)の1572年翻訳版、18~20世紀の版画、新聞、カタログなど。現代のものでは上記コンパニオンの職業百科事典のほか、あらゆる職人技術に関する書籍がある。フランス第2の技術専門図書館だ。
● Maison de l’Outil et de la pensée ouvrière (MOPO):
7 rue de la Trinité 10000 Troyes
tel : 03 25 73 28 26
https://mopo3.com
毎日9h-12h /14h-18h(10-3月は火休)。
8/4€、12歳未満無料。駅からは徒歩で10分ほど。
*資料センターは水9h-12h/14h-18h、土9h-12h。受付で申し込めば見学できる。
★トロワのおいしいものを食べに!は後日掲載予定。