Toutânkhamon, l’expérience immersive
エジプト考古学者の発掘チームとともに「王家の谷」でツタンカーメンの墓を探す。そんな没入型ゲーム「ツタンカーメン、没入型体験」が始まった。
設定はこうだ。時は1922年。イギリスの考古学者ハワード・カーター(1874 – 1939)は5年前から王家の谷で発掘を進めている。パトロンであるカーナヴォン伯からの資金援助がもうじき終わってしまうが、その前に古代エジプト第18王朝のファラオ、ツタンカーメン(紀元前1341頃 – 紀元前1323年頃)の墓を見つけたい。それには参加者「あなた」の手助けが必要だ。世紀の大発見に貢献できる機会だから、協力してくれ、と言ってくる。
スタートは発掘隊のキャンプ地。そこで新聞(冊子)を手渡される。開くと墓の見取り図があり、それぞれの部屋で解くべき謎が書かれているから、答えを見つけたらその新聞に書き込んでゆく。
墓へ入ると、各墓室には実際にカーター博士、また博士に同行した考古学者たちがいて、彼らが何を手伝うべきかを指示してくる(俳優さんたちは英仏語堪能)。ヒエログリフの専門家アラン・ガーディナー、のちにツタンカーメンの墓の開封にも立ち会うアーサー・メイス博士はミイラの麻布の研究から手がかりを探している。カーナヴォン伯の娘イーヴリン・ボーシャン氏はミイラの防腐処理や儀式について研究中だが、摘出された臓器が保存されたカノポス壺の謎を解くのを手伝ってくれ、と言ってくる… などなど。
謎を解くには、展示場の説明や冊子を読んだり、音を聞いたりする。答えがわかったら冊子にクロスワードパズルのように記入する。細かい作業をひとつひとつ辛抱強く進めないといけない。世紀の発見が、そう簡単にいくわけはないのだ。しかし諦めなければ、ツタンカーメン王の墓の入口を開ける暗号が分かり、冊子には預言者の顔が浮き上がってくる!そうすればいよいよツタンカーメン王の墓の扉が開き、黄泉の国への旅ができるのだ。
私は謎解きに、かなり時間がかかった。一緒に入った人たちはとうに黄泉の国へといなくなるのに答えが見つからず、現場の考古学者たちにヒントをもらったりもした。しかし「時間制限はないので、じっくりと」取り組むようアドバイスされた。
最終的には、謎を解くために展示場に潜む情報をキャッチしつつ、パズルをするので集中せざるを得ず、普段使っていない部分の脳を使ったような気がした。探検は30分おきにスタートする。
壁画、そして約1000点の”出土品”のレプリカが展示されているが、これが素晴らしい。それもそのはず、カイロ博物館の監督のもとエジプトの職人たちが6年間かけて作ったものなのだそうだ(そのせいか入場料は少々高め)。エジプトでの発掘などにも参加し昨年の「ラムセス2世」展のキュレーターで、エコール・デュ・ルーヴルでも教えるベネディクト・ロイエール氏が科学監修にあたった。(六)
Toutânkhamon, l’expérience immersive pharaonique (Galeries Montparnasse)
Adresse : 22 rue du Départ , 75015 Paris , Franceアクセス : Montparnasse-Bienvenüe
URL : https://www.toutankhamon-experience.com/
32€/30€/28€ (4歳〜14歳)4歳未満無料。Galeries Montparnasseは高いモンパルナスタワーと低いタワーの間にのびるかつてのショッピングモール。ギャルリー・ラファイエットが入っていた場所。