実力派俳優Cエックがハエ男を好演『La Mouche 蠅』

ガレージで物質電送の実験をつづける主人公ロベール(C.エック)Photo:Fabrice Robin

『蠅』といえば、デヴィッド・クローネンバーグ監督の『ザ・フライ』(1986)がまず頭に浮かぶ。『ハエ男の恐怖』(カート・ニューマン監督、1958)のリメイク作品で原作はジョルジュ・ランジュラン。パリ生まれのイギリス人で英仏語をあやつり、第二次世界大戦中はイギリスの諜報機関でスパイ活動、戦後はフランスで記者として活動。その時代にフランス語で書いたのが、彼の代表『蠅』(1957)だ。

この蠅男を、クリスチャン・エックが演じるというのだから見逃せない。マリ・ピエール役を演じるヴァレリー・ルゾーと「原作から自由にインスパイア」し、演出した芝居。エックはコメディー・フランセーズの実力派俳優だが、独特の風貌と所作とセンスで、彼が舞台に出ると芝居が振動し、輝き、コミカルになる。

物質電送の実験を続ける息子ロベールと母親(クリスティーヌ・ミュリロ)。Photo:Fabrice Robin

舞台は60年代のフランスの小さな村。主人公のロベールは(クリスチャン・エック)、家のガレージで「物質電送」の実験をガレージで続けている。50歳を越しているが、母親とのふたり暮らし。少しずつ実験に成功し、ロベール自身が物質電送するときに電送マシーンにハエが入ってしまい、その後次第にハエになっていく、という大筋は映画と同じなが、筋がわかっていても脚本、舞台とシチュエーションの面白さ、そして俳優4人の秀逸の演技でまったく違った作品だ。

マクロン夫妻が1月17日、観劇をデモ隊に邪魔されたのはこのお芝居だ。とはいえ、メディアがいうほどの公演「妨害」には至らなかったのが現実である(マクロン夫妻は一時安全な場所に避難したが)。デモ隊が「マクロン辞任の歌」を合唱したのが公演中かすかに聞こえた程度なのと、観客の前を歩いて横切った「デモ者」が一人いたくらい。劇場内には何人もデモ隊の分子らしき人たちがいたが、公演中スマホをいじるほかはおとなしくしていた。

やっぱりお芝居が楽しかったんだろうな、と思えてならない。2月1日まで(美)


Théâtre des Bouffes du Nord

Adresse : 37 (bis) bd de La Chapelle , 75010 Paris
TEL : +33 (0)1 46 07 34 50
アクセス : La Chapelle
URL : http://www.bouffesdunord.com/fr/la-saison/la-mouche
2020年2月1日まで

 

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