ポンピドゥ・センターでの展覧会と同時に、「パリ・シュルレアリスト」と題して、40軒ほどのパリのギャラリーでシュルレアリスト展が始まった。これに参画するすべてのギャラリーを網羅したマップ★がポンピドゥ・センターをはじめどの展覧会場でも配布されているから、それを持って散策にでかけよう。パリだけでこんなにシュルレアリスムの作品を扱うギャラリーがあったこと自体が驚きだが、その他にも、発見ゆたかな散歩になるだろう。 昨今、「女性嫌い」との批判も耳にする(歴史的)シュルレアリスムだが、「宣言」から100年の今年は、女性芸術家も積極的に紹介されている。
ポンピドゥ・センターの「シュルレアリスム」展は見逃せない。
パリ・クリシー大通りにあり、シュルレアリストたちがよく行った「地獄のキャバレー」の入口を模した鬼の口から入ると、暗い廊下を通って、「シュルレアリスム宣言」の部屋にたどり着く。そこを中心として、展示室が渦巻き状に広がるという、凝った仕掛けだ。展示室は、シュルレアリストたちが影響をうけた詩人ロートレアモン、シュルレアリスムの先達とされる『不思議の国のアリス』、シュルレアリスムで重要な意味を持つ「夢」、「夜」、「森」など13のテーマに分かれている。展示室「政治の怪物」では、ファシズムの台頭で自由の危機を感じたヴィクトル・ブラウネルが描いた傷だらけのヒットラーの頭部など、滅多に見られない作品がある。
最も目についたのは、フロッタージュで森を表現したり、古い雑誌を切り抜いたコラージュでデペイズマン(異なった環境のものを組み合わせ、意外性を与えること)を表現したエルンストだ。暴力、狂気などの深層心理を描いたアンドレ・マッソンの絵も多い。シュルレアリスムの女性アーティストたちと、米国、中南米、アラブ世界など欧州以外のシュルレアリスムに光を当て、この運動の広がりと多様性を見せるのも本展の特徴だ。メキシコで活動したスペイン人のレメディオス・バロ、インド生まれで神秘主義に傾倒した英アイセル・コフーン、米ケイ・セージとドロテア・タニングなど、これまであまり知られなかった画家たちの作品が魅力的だ。バロはシュルレアリスムの詩人、バンジャマン・ペレと、セージはシュルレアリスムの画家イヴ・タンギーと結婚していた。日本からは池田龍雄と瀧口修造の作品が出ている。1/13まで。
Centre Pompidou
Pl Georges-Pompidou 4e
M°Rambuteau
火休、水〜月:11h-21h (木-23h)可能なら混雑する土日は避けたい。入場料:17€/14€
丁寧に見れば3~4時間かかることを覚悟で行こう。
www.centrepompidou.fr
Centre Pompidou
Adresse : Pl Georges-Pompidou , 75004 Paris , Franceアクセス : M°Rambuteau
URL : https://www.centrepompidou.fr/fr/
火休、水〜月:11h-21h (木-23h)可能なら混雑する土日は避けたい。入場料:17€/14€ 丁寧に見れば3~4時間かかることを覚悟で行こう。