第73回ベルリン映画祭コンペティション部門で最高賞《金熊賞》を受賞した『アダマン号に乗って Sur l’Adamant 』が、4月19日、フランスで公開になった。オヴニーも何回も書いてきたフランス現代ドキュメンタリーの名匠、ニコラ・フィリベール監督の新作だ。『音のない世界で Le pays des sourds』(1992)、『ぼくの好きな先生 Être et avoir』(2002)、『ネネット Nenette』(2010)などを観てファンになった人も多いだろう。
新作の舞台は、セーヌ川、ケ・ド・ラ・ラペ河岸に浮かぶ木造の建物「アダマン号」。2010年に創設された、精神疾患のある人々を迎え、裁縫や⾳楽、読書、映画上映会、作⽂、絵画、ラジオ、リラクゼーション、などの文化活動を通じて、患者が家に引きこもらずに、社会と再びつながりを持てるようにする施設だ。パリ中央精神科医療グループの⼀部で、看護師、⼼理⼠、作業療法⼠、精神科医、秘書室、2 名の病院職員、他、さまざまな経歴を持つ外部協⼒者が患者のケアをする。
毎⽇来てもいいし、時々しか来ない患者もいる。必ずしも文化的なワークショップに参加しなくても、ただコーヒーを飲んだりするだけでもいいという。年代も社会的背景もさまざまな人たち、患者とスタッフが共に過ごす場所。このアダマン号をフィリベール監督は「奇跡」といい、ここにやってくる人たちに寄り添い、優しい眼差しで撮り続けた作品だ。
この映画は実は、日仏共同制作。フィリベール監督に惚れ込んだ配給会社ロングライドが、『人生、ただいま修行中 De chaque instant』に続き共同製作で参加しているのだ。そんな背景もあって『アダマン号に乗って』は、日本でも、4月28日(金)に公開されることになっている。(集)
フランスでの上映情報はこちら ☞ www.allocine.fr/film/fichefilm_gen_cfilm=289240.html
日本での上映情報はこちら ☞ https://longride.jp/adaman/