11月29日から12月4日まで、毎年恒例のセーヌ・サンドニ児童書見本市が開催される。このフランス最大の児童書ブックフェアでは、多数の児童書やBD・マンガなどを一ヵ所で一挙に見られるだけでなく、展覧会、講演会などのイベント、人気作家のサイン会、ワークショップなども盛り沢山だ。
この見本市はフランス最大の児童書見本市だが、有名な伊ボローニャ・ブックフェアなどと違って出版関係者らプロ向けではなく、本に触れる機会を子どもに提供するのが主眼だ。1984年にセーヌ・サンドニ県議会とモントルイユ市が支援する協会「セーヌ・サンドニ児童書普及センター(CPLJ-93)」が設立されて見本市を企画。当時はわずか50社ほどしか出版社が参加しなかったが、今は仏語圏のカナダ、ベルギー、北アフリカ、仏海外県などの出版社、独立系小出版社も含めて約400社が出展し、250人の作家が参加。学校から引率される3万人の小中学生を含めて入場者は16万人強。
39回目の今年の見本市のテーマは「身体の地殻構造」といういかめしいものだが、異なる身体、変容する身体、烙印を押された身体……変化し、動く体をテーマにした4人の作家の展覧会が開催されるほか、このテーマに沿った朗読会、ワークショップ、作家との交流などもある。モントルイユまで来られない人のためには、全国の書店、図書館、文化センターなどでパートナーシップを結んだイベントがあるほか、“La télé du Salon”と称して、サロンのウェブサイト上でその日の各種イベントや討論会の映像が毎日17h~20hに視聴できる。
開幕の29日には同見本市の児童書文学賞「ペピト」が発表される。フランスの児童書界では最も権威ある賞の一つで、絵本、ジュニア小説、アド小説(YA)、BDの4部門に加え、部門を超えた今年最高の作品「金のペピト賞」が選ばれる。
2022-23年度で、幼児向け絵本1万点、ノンフィクション1750点、フィクション7000点、と計1万9000点が出版された。コロナ禍前の2019年に比べると出版点数は2.9%減ったが、売上額では7.7%伸びており、このデジタル時代にしては健闘していると言っていいだろう。子どもが多いので混雑してやや騒がしいのが難だが、これだけの多様な児童書が見られる貴重な機会。本の世界に浸れば周りの雑音も聞こえなくなること請け合いだ。(し)
会期:
11/29(水)~12/3(月)、4日(火)はプロの日。
時間:
11/29(水)9h-18h
11/30(木)9h-18h
12/1(金) 9h-21h
12/2(土) 9h-20h
12/3(日) 10h-19h
12/4(月) 9h-18h
入場料:
11/29(水)~12/1(金)は無料(ただし入場券要、こちらのページから、または会場で入手可)。
12/2~12/4は、18歳以上は5€。18歳未満、障害者、セーヌ・サンドニ県住民、RSA受給者など無料。
サイトslpjplus.frで5€の入場券を購入すれば、4 €の図書券が会場でもらえる。
Salon du livre et la presse jeunesse en Seine-Saint-Denis
Adresse : Paris Montreuil Expo : 128, rue de Paris, Montreuil , Franceアクセス : Robespierre
URL : https://slpjplus.fr/salon/