Salade César
シーザーのサラダといってもローマ皇帝のシーザーとはまったく関係ない。20世紀初めに、メキシコのティフアナにあるレストランのシェフ、シーザー(チェザーレ)・カルディーニが考案したもので、今でもこの店は存在していて、オリジナルのシーザーサラダがメニューに載っている。写真を見ると、サラダの中身はロメーヌ菜のみで、おろしたパルメザンチーズがたっぷり入ったドレッシングがかけてあるだけだ。フランスでSalade Césarというと、ふつう鶏肉の胸肉がトッピングされているけれど、なんといってもドレッシングの味わいが決め手になる。
まずクルトンを用意する。食パンの耳を切りとり、さいの目に切る。フライパンに油を多めにとって熱くし、パンを加え、まんべんなく焼き色をつけ、キッチンペーパーにとって油気を切っておく。
サラダ菜は歯ごたえのいいロメーヌromaineが一番だが、バタヴィアbataviaに少し苦みのあるルッコラroquetteを混ぜるのもいい。洗ってしっかり水気を切る。
鶏肉は、ローストチキンが残っていたりしたら手っとり早いのだが、なかったら胸肉 filet de pouletを人数分用意する。塩、コショウし、フライパンで焼いたりグリルしたりして、芯まで火を通すことにしよう。冷ましてから大きく切り分けておく。
次はドレッシングをつくる。ボウルに卵黄、マスタード、アンチョビー、細かくみじんに切ったニンニクを入れて混ぜ合わせる。ここへオリーブ油を少量ずつ加え、たえず泡立て器で混ぜ合わせつつ、軽いマヨネーズのようなドレッシングにする。さらにレモンのしぼり汁、おろしてあるパルメザンを混ぜ入れ、コショウで味をととのえる。アンチョビーの塩気があるので、塩はいらないはずだ。
サラダ菜を適当に切り分けてから大きなボウルにとる。ケイパー、ドレッシングを加えて混ぜ合わせ、各人の皿に盛りつけ、その上に鶏肉を置く。クルトンを散らし、きざんだパセリを振りかけ、パルメザンチーズを薄く切って飾れば文句なし!
飲みものはベルギービールのレフやシノンのような上品な赤ワイン。アルザスのフルーティーな白も合うだろう。(真)
材料4人分:ロメーヌ菜やバタヴィアなど適量、ルッコラ菜2つかみ、鶏の胸肉四つ、食パン3枚、ケイパー大さじ2杯、パルメザンチーズ適量、油、塩、コショウ
ドレッシング:卵黄1個、レモンのしぼり汁大さじ2杯、マスタード小さじ1杯、アンチョビーペースト crème d’anchois小さじ1杯(あるいは細かくみじんに切ったアンチョビーの油漬け4、5尾)、粉末パルメザン大さじ2杯、ニンニク2片、オリーブ油半カップ、コショウ
Romaine, roquette レタスあれこれ
葉が厚めで、細長い形のロメーヌは、地中海沿岸で栽培されてきた。ほかのサラダ菜と比べ、歯ごたえがあってすがすがしい味わい。熱にもかなり強いので、切り分けてベーコンといため合わせたりすると変わった味わいの付け合わせ。ハムやツナといっしょにサンドイッチに入れるのもいい。
ルッコラも地中海原産で、タンポポに似た葉は軽い苦みがあり、ほかのサラダ菜と組み合わせて使いたい。イタリアンレストランでは、ピッツァの上にこんもりと盛り上げたりもする。
Anchois アンチョビー
アンチョビー(カタクチイワシ)はイワシより小型で細めの魚。新鮮なものが魚屋に並んでいたら即座に買ってくる。頭つきのままハラワタを出して牛乳に30分ほど漬けてから、水気を切り、小麦粉をまぶし、高温でカラッと揚げる。レモンをしぼりかけて味わう。三枚におろしてヴィネガーでマリネにしてもうまい。塩に漬けておくと、塩辛のような味わいになる。それを油漬けにしたものが缶詰やびん詰めで市販されている。ニース風サラダに入れたり、パン生地の上に、薄切りにしてじっくりといためた玉ネギをのせ、この油漬けのアンチョビーをのせ、オーブンで焼くとピサラディエール。パスティスのおつまみなどに最高。
Riz à risotto リゾット用のお米
リゾットには、リゾット用の米を使わなくてはいけない。粒の長い米はブイヨンを吸収しにくいし、日本米だと煮くずれて雑炊になってしまう。リゾット用の米というとarborio種などの、やや大きめで平ったく、白っぽい米で、フランスでもリゾットをつくる人が増えているから、ほとんどどこのスーパーでも手に入る。それにしても、最近の米の包装は、リサイクルしやすいためかもしれないが、透明な窓がなくなって、米粒が見えないので、新米か古米か、判断しにくくなったのは困ったことだ。