Picasso, dessiner à l’infini
ピカソ没後50周年記念イベントの最後を飾る展覧会。もうピカソはたくさん見たと思っていても、異なる時代の、木炭、鉛筆、水彩、パステル、不透明水彩(グアッシュ)による素描、版画などを含むデッサンを1000点も見せられると、ピカソの意外な面が見えてくる。デッサンをテーマにしたピカソの初の大回顧展だという。
人生に沿った年代別の展示ではなく、コラージュ、パステル、インクなど技法別と、アナトミー、顔、暴力など題材別に、会場が全部で50のコーナーに分類されている。仕切りがなく、どこから見始めても良い。そのため、印象に残ったコーナーと残らなかったコーナーが出てくる。
滅多に目にする機会がないパステル画は、これがピカソか?と思うほど繊細に表現されている。敬愛していた、パルテルで有名なドガに触発されたのかもしれない。「雄牛」シリーズでは、同じものを対象にしながら、最初は細部を描いたが、その後次第に形を単純化していった過程を見せる。1950−60年代は、自分の過去の作品の写真の一部にグアッシュやインクを塗って、新たな創作の出発点とした。
200冊残されたスケッチブックの一部に即興で描かれた人物を見ていると、ピカソの生の姿に触れられたような気がする。会場では、制作する様子を撮ったアンリ=ジョルジュ・クルーゾーの有名なドキュメンタリー映画「ミステリアス・ピカソ 天才の秘密」を大画面で再生し、ピカソの存在感を否応なく強めている。ピカソがアトリエ内に南仏ヴァロリスの礼拝堂の壁を再現し、そこに収めるための壁画を描くシーンが出てくる。美術館となったこの礼拝堂は、内壁が全部、戦争と平和をテーマにしたピカソの絵で覆われている。
会場が広いので、見落とすコーナーがあるかもしれない。何度でも通ってピカソへの理解を深めたい。会場のポンピドーセンターは職員のストのため、閉館していたり、開館時間帯が突然変わることがある。出かける前にインターネットや電話で確認していこう。(羽)2024年1月15日まで
Centre Pompidou Paris
Adresse : Place Georges Pompidou, 75004 Paris , Franceアクセス : Rambuteau
URL : https://www.centrepompidou.fr/fr/
火休、 水-月:11h-21h(木-23h)12/31日は19hまで。ピカソ展+常設展:16€/14€