Musée de la Romanité ニーム市にオープン、ロマニテ博物館。

ロマニテ博物館の外観。右にニームの有名な円形闘技場。®Nicolas Borel

 6月2日、ニーム市の中心に「ロマニテ博物館」がオープンした。ニームには、約2千年前に建立された神殿や、水道橋ポン・デュ・ガールなどの古代ローマ遺跡が多く、〈フランスの小さなローマ〉とも呼ばれる。それらの遺跡が造られた時代よりさらに、紀元前8世紀まで町の歴史をさかのぼることができる考古博物館だ。

ニームの町。円形闘技場の横のとなりの四角い建物がロマニテ博物館。© agence 2Portzamparc

 古代ローマ人が身にまとった一枚布の上着、トガのようなドレープを描くガラスのファサードが、隣接する石造りのアレーナ(円形闘技場)との強いコントラストを生んでいる。設計は、パリを拠点に活動するエリザベット・ド・ポルザンパルク。 2011年の国際コンペティションで、103件のプロジェクトのなかから選ばれた。ローマ時代の闘技場と、ロマニテ美術館。ふたつの建造物は形も素材も違い、2千年の時を隔てて造られたものだが、見事に調和し、かつ対話しているようだ。

(写真左)展示空間からアリーナを垣間見ながら時代を旅する。®Serge-Urvoy
(写真右)1階の展示空間。青銅器時代のものも展示されている。

 美術館の庭の傾斜している部分には、ガリア時代、ローマ時代、中世と、この地で栽培され生活のなかで使われてきたハーブや木が植えられた。この〈考古学庭園〉は、市の庭園として無料で開放される。植えられたばかりの植物が大きくなる頃には、この博物館もこの地にしっかり根を張りながらも、半透明のガラスで覆われた建物は、緑の庭の上に浮かんでいるように見えることだろう。 

1階と2階を結ぶ、交差する2つの螺旋階段。
曲線が時代の流れを表しているかのよう。
©Serge Urvoy

 地下1階、地上3階建て、総面積9100㎡の館内には、博物館が所蔵する2万千点のうち、約5千点が展示されている。展示品は紀元前8世紀のものから始まる。モザイク、建築の柱、フリーズやコーニスなど建物の細部の破片の陳列と並列して当時の住居が再現され、日常生活を彷彿とさせるガラス製の器、アルコールランプ、貨幣などが並ぶ。館内の中央の、高さ17メートルの吹き抜けのスペースには、「フォンテーヌの神殿」が一部再現されている。ここにはローマ時代以前から泉(フォンテーヌ)を中心に聖域とされた場所で、神殿が建立された場所だ。展示は古代ローマから中世、そして19世紀へと時をたどる。

下部の色彩装飾に特徴がある男性胸像紀元前6-7世紀頃。ガール県。

 ホールからは、橋のような通路を通れば庭園に出られる。カフェやミュージアムショップへは、チケットを買って館内に入らなくても行けるので、気軽に利用できそうだ。

 タッチパネルや模型などをうまく使って展示されているので、見学順序をあまり気にせずに自由に時空の旅を楽しめる。途中、一息入れてから見学を続けたい方は、屋上のテラスに出て、街を一望するのもよいだろう。正面の円形闘技場を間近に見ることもできるし、古代ローマ時代には要塞都市であったニーム市の歴史を語るマーニュ塔が、町の一番高いところにそびえているのも見える。たおやかに流れる時間を体感する至福のひと時である。

屋上テラス。さまざまな遺跡が一望できるのもニームならでは。©NicolasBorel

 乳白色をした7千枚のガラスで覆われたファサードは展示空間に遮光効果をもたらし、太陽の光や夜間照明に応じて表情を刻々と変える。四季折々の光、空の色などとともに、趣が変化するだろう。

 現在ニーム市は、ユネスコ世界文化遺産への登録推進運動を積極的に行っている。この博物館も、ニームの時を紡ぎ、将来「遺跡」となるのだろうか。(浦)

7000枚のガラスで覆われたファサード。季節や、時間によって、その表情を変える。©Serge Urvoy


MUSÉE DE LA ROMANITÉ

Adresse : 16, Bd des Arènes, 30000 Nîmes
URL : museedelaromanite.fr
年中無休 【パリからの行き方】パリ・リヨン駅からはTGVで約3時間。バスによっては11時間でも行ける。 【開館時間】6/2〜6/30:10h-19h。7/1~8/31:10h-20h。季節により開館時間が変わるのでサイトで確認。 【料金】8€/6€/7-17歳3€/家族料金あり€。