Saint-Paul de Vence
フランス私立美術館のさきがけ 近代美術史と共に歩むマーグ財団。
サンポール・ド・ヴァンスの町から海までを見渡せる丘には、マルグリットとエメのマーグ夫妻が設立した近代美術の財団がある。近代美術と現代美術の作品I万3000点を所蔵する私立美術館だ。1945年にパリに画廊を設立した夫妻は、ジョルジュ・ブラックの提案で、米国のバーンズ財団やグッゲンハイムなどの私立美術館を見て回り、「戦後の前衛」をテーマに1964年、フランスにはなかった新しいタイプの美術館を設立した。建築はル・コルビュジエの弟子で、マヨルカ島のホアン・ミロのアトリエを作ったホセ・ルイ・セルトが担当した。2023年、手狭になったため、セルトの作風を尊重しつつ、拡張工事を行ない、スペースを60%増やした。建物に囲まれた広場にはアルベルト・ジャコメッティの彫刻が並ぶ。その下に、2023年の工事で新たな展示室ができた。広い館内にはブラック、マティス、シャガールなど仏近代美術の巨匠のほか、ジャン=ポール・リオペル、サム・フランシス、エルズワース・ケリーなどの北米抽象画家の作品も揃っている。一室では現代作家の特別展を期間限定で行う。庭にあるカフェでは、ジャコメッティの弟で家具製作者のディエゴが制作した椅子に座って一休み。カフェの中までアートの世界だ。
◉Fondation Maeght :
623 chemin des Gardettes
06570 Saint-Paul de Vence
Tél : 04.9332.8163
www.fondation-maeght.com
無休、10h-18h (7-8月: 10h-19h) 。
12月24日と31日は-16h。
18€/学生、16-18歳14€/16歳未満、障害者無料
Mouans – Sartoux
現代アートが大好きになりそうな「アール・コンクレ」ミュージアム。
グラースに近いムアン・サルトゥーの古城に、ユニークな現代アートセンターがある。センターの名前は、オランダのアーティスト、テオ・ファン・ドゥースブルフが1930年に提唱した 「アール・コンクレ」に由来する。現実にあるものを元にせず、抽象でも具象でもなく、客観的で自立した造形を目指したこの運動は、デザインや建築にも波及した。その精神をひき継ぎながら、現代アートを通して万人にアートを広めることがこのセンターの目的だ。二人のスイス人コレクター、ゴットフリート・ホーネッガーとシビル・アルバースが市に寄贈した所蔵作品700点が、センター設立の元になった。3月2日まで、寄贈コレクション展示館設立20周年を記念し、この二人のコレクションと、セーヴルにある芸術的職人芸とデザインのアトリエ集団 「ジャルダン・デ・メティエダール・エ・デュ・デザイン (J A D)」で制作するデザイナーたちの作品が共鳴し対話する展覧会を開催している。
◉Espace de l’art concret – Centre d’art contemporain d’intérêt national :
Château de Mouans 06370 Mouans-Sartoux
Tél 04.9375.7150 espacedelartconcret.fr
9月-6月は:水-日、13h-18h。 7€/5€ /18歳未満無料
ムアン・サルトゥーまで公共交通機関で来た人は入場料半額。城と駅の駐車場は無料。
国鉄Cannes駅からGrasse行き電車で約20分、Mouans-Sartoux駅下車、徒歩7分。ま
たは、Cannes SNCF からのバスn°660とn°600 Grasse行きで約30分。
Saint-Paul de Vence
今年で半世紀を祝う、マダム・イセールの画廊。
サン・ポール・ド・ヴァンスの町に入ってすぐの場所に、蔦に覆われた白い一軒家がある。パリの名だたる画廊で経験を積んだカトリーヌ・イセールさんが1975年にオープンした現代美術画廊だ。絵画、彫刻、陶芸など、抽象・具象、フランス国内外を問わず、作者の個性が際立ち、その中を風が通っていくような清々しい作品が選ばれている。カトリーヌさんが「一目惚れした」というニース在住の画家、郡司やよいさんも取り扱い作家のひとり。パリで毎年開催されるドローイング・ナウやアート・パリなどのアートフェアにも出展している。
◉Gelerie Catherine Issert
2 route des serres 06570 Saint-Paul de Vence
Tél : 04.9332.9692 www.galerie-issert.com
10/16〜3/16は10h-13h/14h-19h 日月休