フランシス・ファルセトが監修した 〈éthiopiques〉というCDシリーズのおかげで、ぼくらはエチオピアの、どこの宇宙からやってきたのかと度肝を抜かれるようなダンス音楽に遭遇できた。ペンタトニック(五音音階)の、演歌を思わせるような神秘的な旋律、テープを逆回転したようでステップを踏みはずしそうなリズム!そして国際的にこの音楽を広めたのがジャームッシュ監督の『ブロークン・フラワーズ』。このロードムービーのバックにエチオピア音楽のスター、ムラトゥ・アスタトゥケの『Yèkèrmo Sèw』や 『Yègellé Tezeta』が流れ、独特なフィーリングをつくり出していた。
アスタトゥケは今年80歳。16歳のときに英国に渡ってジャズ好きになり、ヴィブラフォンをはじめる。60年代には米国のバークリー音大でも学ぶ、という経歴から彼の音楽にはジャズの影響が強いといえる。というものの5年前のビデオで『Yèkèrmo Sèw』を聴けば、やはりエチオピア音楽の魔力が彼の音楽に深くしみ込んでいることが感じられる。彼の、もう少しエチオピアンルーツが聴きたいという人には、〈éthiopiques〉第4集*がおすすめ。パリ公演は逃せない。(真)
11月13日 19h (開演時間変更の可能性もあり)。
45〜67.5€ (残席が少なめ、早めに予約。売り切れてしまっていたらCDでアスタトゥケ発見を。)
Le Trianon
Adresse : 80 bd de Rochechouart, 75018 ParisTEL : 01.4492.7800
アクセス : M°Anvers
URL : http://letrianon.fr/fr/programmation/mulatu-astatke/