Mousse au chocolat
7月1日号のコラムでイチゴのムースの作り方を書いたら、友人から「ムース・オ・ショコラの作り方も教えてほしい」と注文された。そういえば、まだ一度も書いたことがなかった気がする。子どもたちが小さいときはよく作ったものだけれど、彼らが独立して住むようになってほとんど作らなくなったせいもあるし、高カロリーすぎて敬遠してしまうのも一因。とはいえ、レストランでは相変わらず人気のデザートでもあるし、少しは胃に軽いムース・オ・ショコラの作り方を工夫してみた。バターは入らないし、玉子の量も少なめです。
チョコレートの種類は、作る人、食べる人の好みで、ミルクチョコレートでも、なんならホワイトチョコレートでもいいのだが、ぼくは「Dessert」用と書かれているカカオ分52%のブラックチョコレート。もう少しチョコレート風味が濃い方が好きな人は、72%のものを選ぶだろう。4人分で200グラムもあれば十分だ。こまかくくだいてボウルにとり、バターのかわりにポマード状の生クリームを加え、湯せんにかける。すっかり溶けたら、玉子を割って、卵白は別にボウルにとっておき、卵黄は1個ずつ、溶けたチョコレートに加えて混ぜ合わせていく。
ボウルにとっておいた卵白を泡立てるのだが、最初に塩を一つまみ入れて混ぜ合わせる。泡立て器で勢いよく泡立てていき、量が倍以上になってきたら砂糖を加える。さらに泡立てていけば、ボウルをさかさまにしても落ちないくらいになるだろう。この卵白をまず1/3ほどチョコレートに混ぜ入れるのだが、泡がこわれないように、木のへらでやさしく大きく混ぜ入れていくのが大切だ。均一になったらまた1/3、さらに1/3と同じ要領で混ぜ入れる。これを大きめのガラスの器などに移し、ラップして冷蔵庫に4時間くらいは入れておきたい。
デザートタイムになったらその器ごと食卓に出し、各人好きなだけとるのがいいだろう。シーズンならイチゴやフランボワーズも添えると、子どもたちだけでなく大人からも拍手がわく。(真)
4人分:ブラックチョコレート200g、卵黄3個分、卵白5個分、乳脂肪30%の生クリームcrème épaisse大さじ3杯、砂糖30~40グラム、塩ひとつまみ
Blanc d’oeuf
デザートには、カスタードクリームとかサブレ生地とか卵黄だけを使うレシピがかなりあって、卵白だけが残って困ってしまうことが多い。そこでパン屋では大量に残るその卵白で、メレンゲやマカロンを作るのだが、家庭で1個や2個分だけ卵白が残ったりすると、ちょっと使いみちがなくて、やむなく捨ててしまったりする。 それにひきかえ、今回のレシピのように卵黄2個が残ったりするときは問題なし。オムレツに余分に加えて味を濃くしたり、卵黄入りパイ生地を作って翌日用に冷蔵庫で保存したり、あるいはマヨネーズを作ればいい。
Une cuillère à soupe
ふつうレシピに「大さじ1杯」あるいは「小さじ2杯」とあるときは、油やビネガーなどの液体ならすりきり、砂糖や塩、小麦粉なら山盛り、ということ。といっても、どの家庭でも計量用のスプーンがあるわけではないし、山盛りといってもかなり目分量だけれど、砂糖や塩加減はそれぞれの家庭で異なるので、あまり気にする必要はない、と思う。とにかくどんなレシピでも作る人のさじ加減。そういえば玉子だって大きめの 「gros」と小さめの 「moyen」があり、量にかなりの差があるけれど、なぜかそれに触れているレシピは皆無です。