“Mammifères” Miossec
港町ブレストの男の歌声

Columbia/18€前後。

 ミオセックは、1964年、フランス最西端フィニステール県の港町ブレストに生まれた。95年に出たファーストアルバム『Boire』で、ドミニック・Aと並んで 「シャンソンのヌーヴェル・ヴァーグ」と騒がれてから20年がたった。昨年秋には、10枚目の『Mammifères』、今年になって新作を中心に、名作『Brest』なども熱唱しているライブ盤もリリースされた。トム・ウェイツほどしゃがれていないが味のあるバリトン、気取りがないが切れ味のいい歌詞の中で、50男の心情と風景が交差していく。ミラベル・ジリスのヴァイオリンに、港から吹き上がってくる風の音、カモメの鳴き声がこだましているが、彼の恋人かなあ? と気になる、気になる…。
 ミオセックと出会いたいなら、映画『アメリ』の音楽を書いたヤン・ティエルセンが作曲に参加し、アレンジ(やっぱり素晴らしい!)も担当した7枚目のアルバム『Finistériens』がおすすめだ。「ぼくの腕の中で過ごした 分や秒を ぼくから奪うことは決してできないんだ」。孤独なブレスト男の強がりが哀しい。(真)