1991年、セルジュ・ゲンズブール(以下、ゲンズブール)が62歳でこの世を去ってから32年。今年9月20日に、紆余曲折を経て娘のシャルロット・ゲンズブール(以下、シャルロット)によってゲンズブールの自宅が一般公開された。今年の7月にはゲンズブールのミューズであり伴侶、そしてシャルロットの母親であるジェーン・バーキン(以下、バーキン)が亡くなったことも記憶に新しい。
ゲンズブールは1928年、フランスに亡命したロシア・ウクライナ系ユダヤ人の両親のもとに、二卵性双生児の一人としてパリに生まれた。ピアニストだった父親より幼少期から厳しくピアノのレッスンを受けるが、本人は画家になりたかった。しかし自分には才能がないことを悟り、金銭的な苦境も重なり画家の道を諦め、ピアノで生計を立てることを決める。描きためた作品は全て破壊してしまった。ここからゲンズブールの作詞作曲家、ミュージシャン、映画監督としての長いキャリアが始まる。
巨大なわし鼻にボサボサの頭、不精ひげ、ヘビースモーカー。常にスキャンダラスな作品や言動で世間を大いに挑発した。放送禁止になりつつも世界中で大ヒットした「ジュ・テーム・モア・ノン・プリュ」、テレビのオンエア中に500フラン札を燃やしたり、国家ラ・マルセイエーズをレゲエ版にアレンジし殺害予告を受けたり、近親相姦を匂わせる歌を実娘とデュエットしたり… スキャンダラスな面のほうががクローズアップされがちだが、初期の「 Le Poinçonneur des Lilas(リラの門の切符売り)」「La javanaise(ラ・ジャヴァネーズ)」「 La chanson de Prévert(枯葉によせて)」「Je suis venu te dire que je m’en vais(手ぎれ)」や、バーキンが歌う「Fuire le bonheure de peur qu’il ne se sauve(虹の彼方)」などなど…繊細な心をつかむ名曲も数え上げたらきりがない。世代を超えて今でも愛され続けるアーティストの一人だ。
Maison Gainsbourg
Adresse : 14 rue de Verneuil , 75007 Paris , Franceアクセス : Saint Germain des Prés
URL : https://www.maisongainsbourg.fr/
Maison & Musée : 25€/16€ Muséeのみ : 12€/6€ 火・木・金・土 10h-20h (水・金-22h30) ピアノバー(Le Gainsbarre)は22h30以降も営業