Magdalena Abakanowicz – La trame de l’existence

ポーランドが誇る世界的なファイバー・アーティストで彫刻家、画家のマグダレーナ・アバカノヴィッチ (1930-2017)の作品には、ブールデル美術館の特別展会場に収まり切れないスケールの大きさがある。東欧の伝統的なテキスタイル技術をもとに、タピスリーやテキスタイルの概念を越える巨大な彫刻を作り上げた。会場にはそれがところ狭しと並ぶ。「アバカン・オレンジ」と名付けられた作品(冒頭の写真)では、地面の割れ目にも女性の性器にも見える赤い織物の上から、生命の糸のような別の形の織物が垂れ下がっている。サイザル麻などの天然繊維からは今でも素材の匂いがし、生きているかのようだ。
アバカノヴィッチの作品は沈黙していない。ジュートの布を張り合わせた人型の殻が何体も並んでいる。頭がない人が立っている「群衆」(下の写真)や、頭がなく脚が切れた人間の背中だけが並ぶ「背中」には、特定できない人々が呪文のように同じ言葉を吐き続けているような不気味さがある。人間性が抑圧された全体主義のもとで、生が中身のない塊になってしまうことを表しているのだろうか。

アバカノヴィッチの作品は性的であり、政治的だ。生と死の匂いもする。死んだ蠅のデッサン、胴体の中に色々なものが詰まっている絵からもそれが感じられる。ビデオを見ると、作品が生贄のように竿に乗せられて砂漠の中に置かれるシーンがある。人間の原始の儀式みたいだと思った。なぜか、パゾリーニを思い出した。(羽)4/12まで


Musée Bourdelle
Adresse : 18 rue Antoine-Bourdelle, 75015 Paris火〜日10h-18h、月休。10€/ 12€
