L’Orient des peintres – Du rève à la lumière
マルモッタン美術館のプロモーションビデオを見ると、オリエントの美女たちのエロティシズムを見せる展覧会と思いそうだが、どうやらこれは集客用。本当の意図は全く違い、ドラクロワなど19世紀の画家が北アフリカや中東を都合よく理想化したオリエント像を現実に照らし合わせて暴いている。
黒髪の美女は実は中東の衣装を着せたノルマンディーの女性だとか、本物の娼婦はこのように肌を出した服装で立っていないとか、女性キュレーターならではの容赦なく幻想をぶち破るような分析が面白い。ここまでは前半。
後半はもっと面白くなる。抽象絵画の源が北アフリカの風景にあったというのだ。パウル・クレーがチュニジアを旅行して抽象的な水彩画を描いたのは有名だが、砂漠や長方形の建物と鮮やかな色が幾何学的な抽象絵画の誕生に影響したのだという。クレーだけでなくカンディンスキーの絵でもそれが示されており、納得できる。
パリの風景で有名なマルケは、アルジェリアに行き、同じ人とは思えない水彩のように薄塗りの風景画を描いた。「それまでの自分の描き方やパレットの色では表現できない」と言ったマティスも北アフリカで大きく影響を受けた一人だ。新たな視点で観客の既成概念を打ち破る、オススメの展覧会。(羽)
Musée Marmottan Monet
Adresse : 2 rue Louis-Boilly, 75016 Parisアクセス : M° La Muette
URL : http://www.marmottan.fr
7月21日まで。月休、 10h-18h木は21hまで。