L’Innocence 料理も姿勢もハイクオリティ、信頼が置ける店。

Canard de Challans et foie gras accompagnés de betteraves et chips de chou kale

 次々と良い店ができる住所があるものだ。ここはかつて、ダニエル・ローズのSpringや、ラファエル・レゴのOKAがあった場所。いずれもここで成功を収めた後、他所に店を構えた。そして今、かの有名シェフ、エレーヌ ・ダローズのもとで修業を積んだアンヌ・ルグランが腕をふるっている。

 お料理は全ておまかせ。ディナーは6皿のコースのみで、69€とかなり値が張るけれど、ランチなら金曜は2皿(23€~25€)か3皿(30€)、土曜は4皿(35€)。前菜はキャベツのロースト、イクラ添え。キャベツはかすかに歯ごたえの残る火の通り加減で、焼きを入れて出る香ばしさとキャベツそのものの甘みのバランスがとにかく素晴らしい。白ワインとバターのブールブランソースとの相性も良く、上品でいて、しっかり旨味があるのに感心する。メインはシャラン鴨のフォワグラのせ。かなりの厚切りなのに驚くほど柔らかい。少しとろけたフォワグラと混ざりあえば、口の中でマリアージュが起こって至福のひとときだ。チップス状になったケール菜のほろ苦さやみずみずしいビーツの甘みがまた絶妙に合う。

 幼い頃から自家菜園を目の当たりにしてきた影響で、このシェフは自らの料理をcuisine légumièreと呼ぶように、野菜に重きを置いている。まずその日の野菜を見て、そこから料理全体を決めるのだとか。前菜、メインと食べていて、野菜が主役級に輝いていたのはそういうことだったのかと納得した。

 ある日、入れていた予約が前日に、丁重な対応のもと、キャンセルされたことがあった。シェフが病気のためということだったが、スーシェフに任せるのでなく、自分が管理できないなら営業しないという妥協のなさと、無骨なまでの真摯な姿勢に、プロ意識の高さを感じた。

 レストランで奮発をする機会のぐっと増える12月は、こんな店で満足のできる贅沢をしたい。(み)


L’Innocence

Adresse : 28 rue de la Tour d’Auvergne, 75009 Paris ,
TEL : 01.4523.9913
アクセス : M° Cadet/Anvers/Saint-Georges
URL : www.linnocence.fr
日月休、 12h15-13h30(ランチは金土のみ)/19h30-21h30