1919年にドイツのワイマールで創設され、1933年にナチスの台頭とともにベルリンで消滅したバウハウスは、建築、彫刻、絵画、舞台美術などを含む総合芸術の学校で、世界の芸術とデザインに計り知れない影響を与えた。バウハウスの名前や製品は有名だが、全体像を知る機会は少ない。この展覧会を見れば概要がわかる。
バウハウスがどのようにできたかを見せる最初の会場がまず面白い。創立者の建築家、ヴァルター・グロピウスが作曲家グスタフ・マーラーの妻だったアルマ・マーラーと結婚したことから、アルマが暮らしていたウィーンでも花開いた芸術様式「ユーゲント・シュティール」やアールヌーヴォーがバウハウスに伝えられた。考えてみれば当然だが、目からウロコの情報だ。日本の民芸や、ヨーロッパの中世美術の影響があったことも驚きだ。バウハウスでの授業の内容が詳しく説明されており、学校としてどう機能していたかが想像できる。
一番面白かったのは、バウハウス建築の家で、バウハウスの家具やオブジェに囲まれて生活する人の日常を描写した短編映画だ。サロンの肘掛椅子の隣に棚があり、そこを開けると水道の蛇口があって、すぐにお茶を準備できるようになっている。バウハウスのデザインの斬新さと機能性は今見ても新鮮だ。(羽)
2月26日まで 月火休