
Les Musiciens de Saint-Julien “Les Voix humaines”
フランスのバロック音楽を代表する作曲家マラン・マレは、ヴィオール (ヴィオラ・ダ・ガンバ)のために数多くの曲を残した。マレの、巨匠サント・コロンブのもとでの修業時代と師の娘との愛を描いたのがアラン・コルノrー監督の『Tous les matins du monde (めぐり逢う朝)』。その背景に流れるジョルディ・サヴァールが演奏するヴィオール曲の美しさで、マレの音楽のとりこになった人は少なくない。そのマレがフルートが主役の素晴らしい曲を書いていたことが、2023年に見つかったフルート向けの手稿譜で明らかになった。
この機会を、バロックフルートの名手フランソワ・ラザレヴィチが見逃すはずがない。手稿譜を周到に検証し、リュート奏者のエリック・ベロック、今年のヴィクトワール・ド・ミュージック賞( 器楽独奏部門)のリュシル・ブーランジェの共演を得て、『Voix Humaines(人間の声)』というCDを発表した。深い音色のヴィオールの曲とはちがって、組曲ホ短調の 『メヌエット』や組曲ト長調の『サラバンド』を聴いてみれば、フルートの音色ならではの優美で軽やかな情感があふれ出ている。(真)
Alpha/18€前後。
