国民議会議員選挙の第1回投票が6月12日に行われ、全国的な得票率では左派連合Nupesが26.11%*でトップに立ち、与党連合「Ensemble(共に)」の25.81%*をわずかではあるがリードして、予想通りの躍進を果たした。19日の決選投票で最終的に両者がどれだけ議席を確保できるか注目される。
全体の得票率は3位が極右の国民連合(RN)の18.68%、次いで共和党と中道右派UDIの連合(LR-UDI)が11.3%、極右ゼムール氏の「再征服!」が4.25%と続く。だが、577の選挙区から一人ずつを選出する小選挙区制であるため、得票率は最終的な議席数に比例しない。
IPSOSの調査は、決選投票の結果、与党連合が255~295議席、Nupesが150~190議席、LR-UDIが50~80議席、RNが20~45議席と予測している。つまり、与党連合は現在の355議席から大幅に後退し、単独過半数である289議席を切る可能性も大いにあるということだ。2017年の得票率32.3%からも大きく後退したのは、購買力、予定される年金制度改革などの現政権の政策への不満が左派連合や極右に流れたからだろうし、5年前の求心力が弱まっていることもあるだろう。
現内閣のボルヌ首相ら立候補した15人の閣僚は全員が決選投票に駒を進めるが、ドモンシャラン環境相(31.46 %)、ゲリニ公務員改革相(32.5 %)はNupes候補に次ぐ2位に止まり、19日には苦戦を強いられそうだ。ブランケール前教育相、ヴァルゴン前住宅担当相は第1回投票で敗退。与党連合の勢いのなさは、Nupesの議席数増を恐れてNupesとRNの決選投票にRN阻止の指示を支持者に出していないことからもわかる。
投票率は47.51%で、前回17年の48.7%からさらに下がった。そのため、投票率の低い選挙区では、第1回投票で50%以上得票したにもかかわらず、有権者(18歳以上で選挙人名簿に登録している人)の25%以上の得票がないために、RNのマリーヌ・ルペン党首を含む9人の候補が当選確定を決選投票に持ち越した。
左派連合とともに勢いがあるのはRNだ。ルペン党首は第1回投票で当選にならなかったものの、53.96%を得票。党としては、2017年の第1回投票での13.2%を大きく上回る全国得票率18.67%で、決戦投票に進む候補者は前回の120人から208人に増えた。現在の6議席から最低でも20議席に増えれば、国民議会で会派を形成することができる15議席以上をクリアする。同じ極右の「再征服!」はゼムール党首が落選し、ルペン氏は極右のリーダーの地位を固めた。
マクロンの与党連合が単独過半数を獲得できるか、NupesやRNがどれだけ議席を伸ばすか、19日の決選投票は目が離せない。(し)
* 内務省の公式発表では、Ensemble25.75%、Nupes25.66%と順位が逆転しているが、ル・モンド紙は内務省がNupes公認候補14人を入れていないのは公正でないとして独自に算出をした数字。
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