Le décor impressionniste – aux sources des Nymphéas
美術館の壁を丸く囲むように展示する構想でクロード・モネが制作した大作「睡蓮」は、装飾的な要素が強い。モネ自身がこれは「大規模な装飾」と呼んだほどだ。この「睡蓮」を軸に、オランジュリー美術館が印象派の画家たちの装飾性を取り上げた。このテーマの展覧会はかつてなかったという。
印象派の芸術家たちは、注文を受けて友人知人の邸宅を飾る作品を制作した。自ら印象派の画家だったベルト・モリゾが友人のモネに依頼したのは、地中海沿岸の邸宅風景という、ノルマンディーやイル・ド・フランスを描いてきたモネにしては珍しい題材だった。いつものモネとは色彩も光も違う。モネは画商、デュラン=リュエル邸のドア用に、菊の花が延々と続く絵も描いた。
プチ・ジュヌヴィリエの自宅のドアを温室の花々の絵で飾ったのはギュスターヴ・カイユボットだ。通常のキャンバスサイズではない超縦長で、そのためか対象が画面に収まり切っていない。温室の一部を切り取ったような構図だ。
咲き乱れるマーガレットを上から見たかのように描かれた未完の作品(画像下)も、プチ・ジュヌヴィリエの自宅を飾るためのものだった。モネの菊の絵もそうだが、壁紙模様のようだ。
19世紀、装飾美術は絵画、彫刻などの純粋美術より格が下と見られていたが、油彩でこのような装飾的な作品を描いた彼らの頭の中に、装飾を見下げる考えはすでになかった。ジャポニズムのブームで、浮世絵の装飾性に触れたことも影響している。
印象派の作品の一部は、「装飾」として捉えると、これまでとは違う見方ができるかもしれない。この展覧会はそのきっかけを作ったと言えそうだ。(羽)
ガイド付き見学はこちらから。
https://www.musee-orangerie.fr/fr/visite/visites-et-ateliers/visite-guidee-de-lexposition-le-decor-impressionniste-201184
Musée de l'Orangerie (テュイルリー公園内、コンコルド広場側)
Adresse : Place de la Concorde, 75001 Paris , Franceアクセス : Concorde
URL : www.musee-orangerie.fr
入館料12.50€ 火休、9h-18h 5/20 6/24は閉館21h(19h30 コンコルド広場に面した、セーヌ川側の入り口のみアクセス可に)