ガリレオ・ガリレイ(1564-1642)が生きていたら今年で459歳。その誕生日をプラネタリウムでDJとともに祝おうという、ここ科学産業博物館のオリジナル企画。ガリレオと親交があった人物がサプライズ登場してお祝いの言葉を述べたり、音楽とともに宇宙を浮遊したりの40分間。
プラネタリウムが暗くなるとそこはイタリアのピサ。有名な斜塔のシルエットが浮かびあがる(冒頭の写真)。ガリレオはこの町に生まれ育ち、ピサ大学で学び、教鞭をとった。DJ役のイザベルさんが物理学者、哲学者、数学者でもあった天文学者ガリレオの発見や人生について簡単におさらいしてくれる。ガリレオはオランダで作られていた望遠鏡をさらに改良して天体を観察し『星界の報告』を著したが、その本のためにガリレオが描いた月の絵も写し出される。
そしてパーティーが始まる。まず登場するのはガリレオの母親だが、どこか不満そうだ。それもそのはず、地動説 Héliocentrismを唱えた息子は、宗教裁判で異端とされ自宅軟禁の身なのだ。ジョルダノ・ブルーノがすでにそれで火刑に処されたのだから、革命などやめてくれ、といったところ。
他にも、ガリレオのメセナだったトスカーナ大公、メディチ家のコジモ2世(1590-1621)、コペルニクスの地動説を擁護したヨハネス・ケプラー(1571−1630)、1628年に教皇ウルビノス8世となり、ガリレオに地動説を否定させたマッフェオ・ヴィンチェンツォ・バルベリーニ(1568-1644)もラップのスターの姿で登場。地球平面論者 platisteがどさくさに紛れて画面に現れたりもする。
ガリレオの後継者たちが開発し、1990年4月に打ち上げたハッブル宇宙望遠鏡、2021年のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が送ってきた宇宙の画像なども写し出されるし、トマ・ペスケやレディ・ガガら、セレブからも続々とメッセージが届く。
設定もシナリオも面白いが、音楽もいい。観客は子どもが多いから童謡、なんてことはしない。デュア・リパ、デヴィッド・ボウィ、ダフト・パンク、A-ha…、もう大人も子どもも「ヒューヒュー」、「ウェー!」とノリノリ(とはいえ、プラネタリウムなのでほぼ仰向けの体勢なので踊れない)。途中のカラオケタイムでは70〜80年代にかけての仏ロックグループ Téléphone の「Ça (C’est Vraiment Toi)」がかかる(記事の後にビデオあり)。
パーティーが終わると、小さな子どもたちも「短かすぎた!」とイザベルさんに文句を言うほど楽しい40分。同時に「ガリレオは何歳まで生きたの?」「どんなふうに死んだの?」などの質問や、「音楽のあるプラネタリウムは初めて!すごくよかった!」「星が飛んでくるのをよけたりするのが、楽しかった」などと意見を伝えていた。天文学やその歴史にも興味がむくむくと湧いたようだった。大人としても、こんなに楽しい宇宙旅行とパーティーは経験したことがなかったから、もっと続いてほしかった!
3月5日(日)まで、14h。
4月11日(火)〜5月7日(日)14h。
Cité des sciences et de l'industrie
Adresse : 30 avenue Corentin Cariou , 75019 Paris , Franceアクセス : Porte de la Villette
URL : https://www.cite-sciences.fr/fr/au-programme/animations-spectacles/le-planetarium/a-laffiche#item-grid-152021
9€/12€