フランスで初めての日本酒コンクールが、6月に開催される。パリの高級ホテル「クリヨン」のシェフソムリエ、グザビエ・チュイザ氏*が審査員長を務め、ポムロールの銘酒ペトリュスの醸造責任者ほか、第一線で活躍するソムリエなど計15人が審査員として参加する、本格的なコンクール「蔵マスター」。その応募受付が、きょう始まった。
「日本酒が繊細な醸造酒であることを、広く一般にアピールしていきたい。今後フランスでも、和食店だけでなく、世界的に知られたソムリエたちが、それぞれのフランス料理店に日本酒を置くようになれば、フランス人も興味を持つはず」と審査員長のチュイザ氏。審査員として参加したトップ・ソムリエが、受賞した日本酒をワインリストに入れる可能性もあるという、世界進出を目指す醸造者にとっては耳よりのコンクールだ。
〈純米酒〉と〈純米大吟醸酒〉の2部門。各部門で、金賞、プラチナ賞、審査員賞、審査員長賞、4つの賞が競われる。フランスで日本酒を可視化させ、定着させていくため、コンクールは毎年開催する予定だ。
「日本酒は伝統的なフランス料理にも合う。たとえば食前にスパークリング、野菜を使ったアントレに純米酒、魚には大吟醸、古酒は、ヴァン・ジョーヌや、ヘレス(シェリー)酒と似ているところがあるのでチーズと。デザートには、にごり酒。マンゴーなどエキゾチックな果物と調和すると思う。日本酒は、ワインと同じくたくさんの可能性を持った醸造酒」。
そう語るチュイザ氏は、日本酒に開眼してから8回にわたって関西、中京、北陸などをまわり、酒造りの現場を見てきた。「8000軒あった酒蔵が1200軒に減ったと知り、日本酒の輸出促進に自分なりに貢献したいと思い」コンクールの審査員長を買って出た。
フランスでは近年、見本市や試飲会など日本酒関連のイベントが続いている。統計でも、フランスへの日本酒の輸出額は、過去十数年で倍増しているほか、ヨーロッパのソムリエコンクールで2008年には日本酒が試験に出題されたり、世界標準ワイン認定資格の認定教育機関WSETでも日本酒専門講座が設けられている。日本酒をめぐる動きは、さらに活発化しそうだ。(編)
*グザヴィエ・チュイザ氏
1985年、ブルゴーニュのボーヌ生まれ。「ベルナール・ロワゾー」、「ル・ムーリス」、「ピエール・ガニェール」などを経て「ペニンシュラ・パリ」でシェフ・ソムリエに就任。現在、この夏にリニューアル・オープンする予定のクリヨンのシェフ・ソムリエとしてカーブを準備中。
蔵マスター・日本酒コンクール
【日程】
・応募期間:2017年2月8日(水)~3月22日(水)
・審査会 :2017年6月26日(月) パリ市内
・結果発表:2017年7月11日(火) パリ日本文化会館、公式ホームページ上で発表
・授賞式 : 2017年10月9日(月) パリ市内
【応募要項】
・カテゴリー:純米大吟醸と純米
・出品酒数:1 銘柄3 本、各部門1 社3銘柄まで。
・応募期間:2017 年2 月8 日(水)~2017 年3 月22 日(水)
・応募方法:公式HP www.kuramaster.comから
・参加費:120ユーロ(日本からの輸送費等含む)