
相米慎二監督(1948-2001)の傑作が、今年もまた一作、フランスで劇場公開となる。2023年『お引越し(仏題 : Déménagement) 』(1993)、2024年『台風クラブ(Typhoon Club』(1985)に続いて、今年は『夏の庭 The Friends (Jardin d’été)』(1994)が6月4日に公開される。
『夏の庭』の主人公は小学校6年生の木山、河辺、山下の3人組。いつも3人でつるんでいる。山下は祖母を亡くし、葬式に参列したばかり。その体験について話し合った3人は「死」に興味を持つようになる。いつも3人が通る住宅地には、アパート群のなかに一軒ぽつんと古い木造の家がある。庭は草がぼうぼうと茂って一見廃屋だが、老人が一人で暮らしていて、もうじき死ぬらしい。ならばその老人の死を見届けようと、3人は家の張り込みを始める。庭に入りこみ、買い物も尾行する…そんなある日、3人は、おじいさんに意外な過去を知らされ、あるアクションを起こす。
背景には核家族化で拡大してゆく神戸の団地。そこで、少年たちは老人と出会い、よく走り、考える。まっすぐに感情を吐露する小学生のやさしさ、大人の行動に不可解を感じる姿など「子どもらしさ」が、妙に感動的だ。青春映画で名高いの相米慎二監督だが、『お引越し』と同様、子どもたちがなぜこんなにも魅力的なのだろうか。スイカ、水泳、サッカー、風鈴など、シンプルな夏のおたのしみも胸がキュンとするほど懐かしい。こわおもての三國連太郎は苦味と甘味を含んだ老人を少年たちと観る者を惹きつけた。(集)


★ 読者プレゼント ★
『夏の庭』の招待券を読者10名様にプレゼント。
応募は、こちらからメールを開き、
お名前と(郵送となりますので、郵便受けに書いてあるお名前をローマ字で)
ご住所を記入の上、ご送信ください。
〆切:6月3日(火)16:00

