1952年まで、米政府の検閲によって被爆者は証言することを禁じられた。自由に話せたとしても、史上かつてなかった、誰も見たことがなかった惨劇を誰にどう語るのか。展示会場で見られる、画家の丸木位里・俊による《原爆の図》シリーズの一部は、1950年から32年間にわたって描かれ続けたものだし、漫画『はだしのゲン』が週刊少年ジャンプで発表されたのは73年だ。
原爆投下から72年が経過した。〈長い記憶〉が昇華した作品を集めたこの展覧会は、「世界で核兵器の脅威が高まる今こそ、開催されるべきなのです」。同展は、まずフランス南西部のカルカソンヌの文化施設で開催された。これらの絵がヨーロッパで公開されるのは初めてだ。
会期中は、地元の小・中・高校生らが展示を見学し、『この世界の片隅で』の上映会に参加したり、バンドデシネ作家とともに主人公が戦争で被爆するシナリオを書き、漫画や紙芝居を制作するなど、多くの活動が企画されている。
「日本は私の第二の故郷」というエスマンさんは幼少期、1954年から64年の間、通算で5年間日本に暮らしたことがある。その後も日本へは足を運び、21歳で初めて広島へ行き「平和記念館で、自分がそれまで原爆について何も知らなかったと感じました」。
父親はフランス海軍の士官だった。インドシナ戦争中、フランス海軍の船は修理のために日本の浦賀に寄港したが、その際に通訳を務めるほど日本語が流暢。エスマンさん本人は「私は、少しです」と日本語で言って、笑った。(集)
HIBAKUSHA – Dessins des survivants d’Hiroshima et de Nagasaki
2018年3月31日まで。無料。
日祝休。 12/23~1/1 は閉館。
Archives nationales Site de Pierrefitte-sur-Seine
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