Ingres, l’artiste et ses princes
19世紀フランス新古典主義の巨匠、ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル(1780-1867)の成功の裏には、オルレアン公爵家の王子たちの支援があった。それをコンデ美術館所蔵の作品を中心に見せる趣旨なのだが、アングルの傑作の制作秘話が盛り込まれた驚きの展覧会である。
同館にはアングルが24歳の時に描いたとされる有名な自画像がある。その2年後にル・サロン(官展)に出品したが不評だった作品だ。ところが、この自画像は、当時の批評家が指摘したものが描かれていない。長いあいだ謎だったが、この自画像は、アングルが61歳から71歳までの間に、同じキャンバス上に描き直し続けたものだとわかった。
そのためサロンに出品した作品は現存せず、アングルが婚約者である画家に描いてもらったその複製だけが残っている(モントバンにあるアングル美術館蔵)。複製とアングルが描き直した最終版を比べると、後者の方がスッキリした構図で完成度に雲泥の差がある。
アングルの最初のパトロンは、1830年の7月王政で国王となったルイ・フィリップ1世の王太子、フェルディナン=フィリップだった。歴史画を注文され、アングルは師匠のジャック=ルイ・ダヴィッドも描いた「ストラトニケ」を題材に選んだ。
紀元前3世紀のシリアで、父の後妻となったストラニケに恋をしたアンティオコスが恋焦がれて死にそうになった時に、ストラトニケが彼の寝室に現れた場面。主人公はアングル独特の、柔軟な体をしたうら若き女性だ(下の絵画)。数十年にわたり、同じ場面を構図を変えて何枚も描いた。衰えることのない探究心に脱帽する。10/1まで。(羽)
Musée Condé, salle du Jeu de Paume (Chantilly城内)
城と美術館10h-18h、庭園10h-20h アングル展+庭+ 厩舎+城 17/13.5€。展覧会+庭 10/8€。
パリGare du NordからChantilly-Gouvieux下車 (25分)。駅から徒歩20〜25分。
シャンティー市の無料バス、週末は城・駅間の無料シャトルバスまたはバス645でGare routière からSenlis行き。Notre Dame-Musée du Cheval下車
Château de Chantilly
Adresse : Château de Chantilly, Chantilly , Franceアクセス : TER Chantilly-Gouvieux
URL : https://chateaudechantilly.fr/evenement/ingres-lartiste-et-ses-princes/