
Photo : Collection particulière © ADAGP, Paris, 2025
【展覧会】George Condo
ジョージ・コンド(1957-)は、ニューヨークを拠点とする米国人画家・彫刻家で、多くの美術館に作品が所蔵されている大物アーティストだ。彼が描く奇妙なハイブリッドの人物を「わからない」と言う人もいるだろう。しかし、美術だけでなく音楽や文学への深い造詣に裏打ちされた思考と創造性には並々ならぬものがあり、 観る人は「〈創る〉とはどういうことなのか」を突きつけられる。
個人的に好みでなくても、クリエーターにとって必見の大回顧展だ。会場は年代順ではなく、テーマ別に構成されている。ピカソやゴヤの影響を受け、社会や個人の中にある暴力性、不合理、感情などを人物で表した。伝統的な絵画技術を使って描いた作品は、クラシックな題材を扱っていながら、あれ?と思うキッチュさで題材と表現の間にズレを生んでいる。
いくつかの作品に付いた子供向けの説明では、目の付けどころなどが示されており、大人が読んでも参考になる。デッサンは古典美術では絵画の準備段階であり、ともすれば格下に見られるが、両者の間にヒエラルキーはないとコンドは言う。そして油彩の上に木炭やパステルで描いた作品をつくった。油彩に紙をベタベタ貼ったコラージュもある。抽象と具象との垣根を取り外し、どちらとも言えない作品も作った。
既成の概念を打ち破っていくコンド。プレス内覧会での挨拶では 「アートに規則はない。アートは自由だ」と発言し、表現の自由を規制するトランプ政権を批判した。大勢の報道関係者の前ではっきり自分の姿勢を示すアーティストを初めて見た。(羽)2026/2/8まで




Musée d'art Moderne de Paris
Adresse : 11 avenue du Président Wilson, 75016 Paris , FranceTEL : 01.5367.4000
アクセス : Iena
URL : https://www.mam.paris.fr
月休。火〜日:10h-18h、 木: -21h30。17€/ 15€
