科学産業博物館で始まった「変身 Métamorphoses」展は、6歳〜12歳向けのインタラクティブなアトラクション性の高い展覧会。 「変わること」とは何か?をテーマに、5つの角度から、遊びながら考える。
「変身」といえばまず、毛虫が蝶々に、オタマジャクシがカエルに、種が発芽がして木になる、などの例が頭に浮かぶ。「第1部:不思議な森」は、そんな森のなかの生物・植物の変身の例を見てゆく。これだけなら普通の科学博物館での「変身」展だが、科学だけにとどまらないのがラ・ヴィレットの展覧会だ。
人間にとって「変わる」とはどういうことなのか?
母親の胎内から外界に誕生するのは大きな変化・変身だ。しかしその後もひとは歯が抜けたり、体が大きくなり、そして老いるなど変化し続ける。「第2部:私の魔法の鏡」では、映像で人間の成長と老いを見たり、5分程度の神話やおとぎ話をヘッドホンで聴いたり。マイクで声を録音して、それが年とともにどのように変わるかを聞けたりもするし、自分の全身が映し出されたスクリーンの前に立つと、魔法でアバター(化身!)に変身し、体を動かすと宇宙を飛べたり、蝶や蜂になって森を飛べたりするコーナーもある。ひとは鏡のなかの自分に、変身の願望、夢などを(第三者から見れば、うぬぼれなども)投じながら変化してゆくのだ。
このように同展では、観念的で、捉えにくい「変化」をも感じられるようになっている。他の例をとれば、ひとは体も変われば感情、気分、考えなどが、日によって、天気によって、年齢によっても変わったりする。「第3部:影の世界」では影絵劇場で、そんな自分の影が蝶々や怪物になって投影されるのを楽む。子どもによっては、それぞれ陰の部分を心の底に持っていることに気がついているだろう。それはモンスターの姿の影にしてしまって遊べばいいじゃないかというような劇場だ。
自分が変われば、自分が感知する世界も変わってくる。「第4部:千と一の視覚」では、異なったメガネ/ゴーグルを着けて違ってデフォルメされたり、色が違って見える世界を楽しむ。他の立場が違うひとには、別の見え方があることを学ぶのだ。
最後の「第5部:縁日」は物理的な変化を扱う。レバーを回すとそれが電気になって電球が点いたり、NASAが1966年に開発した磁性流体をマグネットを使って遊ぶコーナーも。縁日のポップコーンマシーンで、3種のコーンのうち正しいコーンを選べば、パン!パン!とコーンがポップコーンに変身する様子をスローモーション(映像)で見られたり、パティシエがカップケーキを作るのを手伝うコーナーも。料理も、物質の変化なのだ。(11/24まで)
Cité des sciences et de l'industrie
Adresse : 30 avenue Corentin-Cariou, 75019 Paris , FRANCETEL : 01 8553 9974
アクセス : Porte de la Villette
URL : https://www.cite-sciences.fr/fr/au-programme/expos-temporaires/metamorphoses
12€/9€