シャンパーニュの都・エペルネー|みんなで乾杯!
生ガキ、シャルキュトリー、そしてシャンパーニュ…。エペルネーの常設市場は月に一度、巨大なシャンパーニュの立ち飲みバーと化す。ホールの名を冠して「サン・ティボーのアペロ」と呼ばれる食前酒の時間は、おじいちゃんおばあちゃん、家族連れも若者グループも、それぞれがボトルとグラスを手にシャンパーニュを酌み交わす。
月ごとに異なる惣菜店、魚介店、シャンパーニュ生産者などが出店し、この晩はシャンパーニュがグラス3€〜、ボトルは20€〜(その日の生産者により値段は違う)。ボトルはどんどん売れ、空になってゆく。生産地ならではのダイナミックな飲み方に魅かれ、ボトルを買い輪に入れてもらった。
2015年、〈シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ〉がユネスコ世界遺産に登録され、この町が誇る「シャンパーニュ大通り」も世界遺産の一部となった。有名な 「ドン・ペリニョン」修道士ゆかりの歴史ある畑も近く、シャンパーニュの発展とともに栄えてきたエペルネーの町では、高級なメゾンのカーヴ見学や試飲もできるし、町の人たちの気軽なアペリティフに遭遇する機会もありそうだ。パリから電車で1時間20分ほどの、シャンパーニュの都エペルネーへ行ってみよう。(集)
L’Apéro de la Halle St-Thibaultへ行ってみよう。
Apéros à La Halle St-Thibault
月例アペロは毎月第4金曜18h~20h。次回は12月22日。
エペルネー市の主催で地元の惣菜・魚介類店、シャンパーニュとビールの生産者が出店。
同ホールで開催される通常のマルシェは水(7h-12h30) と土 (7h-14h) 。
La Halle St-Thibault : 2 pl. René Cassin 51200 Epernay
エペルネー駅から徒歩10分〜15分。
www.epernay-tourisme.com/agenda/les-aperos-de-la-halle/
うるわしの、シャンパーニュの都へ。
ユネスコの世界遺産登録を機に、エペルネーの町が活気づいているようだ。シャンパーニュ大通りははさらに美しく整備され、多くのシャンパーニュのメゾンがカーヴ見学と試飲、宿泊施設…と来訪者の迎え入れに力を入れているという。町の中心にも大きなホテルが建設中、周辺の町でも民宿を始めるワイン生産者が増えているそうだ。
【ユネスコ世界遺産登録】
ユネスコは2015年、〈シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ〉を世界遺産として登録した。「進化する文化的景観」というカテゴリーで、人間の営みによって形成された新しい景観や文化を示す。フランス北東部の5県319の市町村に、世界遺産に登録されたさまざまな要素がある。エペルネーの町の中心にあるシャンパーニュ大通りと、そこに並ぶ立派なシャンパーニュのメゾンとカーヴもそのひとつの構成要素となっている。
Avenue de Champagne
地上も地下もすごい、シャンパーニュ大通りへ。
シャンパーニュ大通りには18世紀以降に建てられた威風を放つ城館が建ち並ぶ。その地下には、何層にも掘られたカーヴが張り巡らされ、全長は110km、2億本ほどのボトルが保管されているという。ランスもシャンパーニュの都としては有名だが、「エペルネーはブドウ畑に囲まれた町で、歴史も長い」と、この町の人たちは「都」を称する正当性を主張する。歴史あるシャンパーニュのメゾンで最大手であるモエ・エ・シャンドン社があるということも都といえる理由だという。ワイン関係者は、エペルネーは一般に門戸を開いているメゾンがランスよりも多いから、シャンパーニュに興味がある観光客に優しい、と説明してくれた。
40kmほど西の町シャトー・ティエリーから公共バスで来た時は、ずっとシャンパーニュ街道の畑のなかを走り続けたが、風景が町っぽくなったと思ったらエペルネーに着いていた。畑に近く、カーヴに適した土地で、マルヌ川や運河、のちに鉄道にも近くて便利だと、シャンパーニュのメゾンが活動拠点を置いたのがシャンパーニュ大通りだ。
「10秒に一本、世界で開けられる」といわれる大手モエ・エ・シャンドン社のシャンパーニュ。1793年、この大通りに最初に館を建てたのがジャン=レミ・モエ (1758-1841)だった。モエ・エ・シャンドン社の設立者クロード・モエの孫で、三代目社長にあたる人だ。創設者の時代から、同社はすでにこの土地に醸造所とカーヴがあったが三代目は邸宅を設けたのだという。エペルネーを訪れる人はたいてい、モエ・エ・シャンドン社の建物の前にあるドン・ペリニョンの銅像を写真に収めてゆく。最高級シャンパーニュ 「ドン・ペリニョン」も同社の銘柄だ。
Moët & Chandon :
20 avenue de Champagne 51200 Epernay
見学予約は Tél : 03 26 51 20 20 visites@moet.fr
www.moet.com
Musée du vin de Champagne et d’Archéologie régionale
シャトー・ペリエの博物館がリニューアルオープン!
シャンパーニュ大通りには 「シャトー・ペリエ」もある。この建物は「地方考古学とシャンパーニュ博物館」で、23年間休館していたのが2021年に再オープンしたばかり。1857年に建てられたペリエ=ジュエ社創始者の邸宅で(コルク製造のピエール=ニコラ・ペリエがシャンパーニュ製造ジュエ家のローズ=アデライドと結婚しペリエ=ジュエを設立した)、 国の歴史的建造物でありユネスコの登録構成遺産でもある。
新しい博物館では、地質学・考古学、シャンパーニュ(ワイン)の歴史、そして地元の美術蒐集家たちの多彩なコレクションを紹介。某有名ブランドが香水を「シャンパーニュ」と名付け係争となった話は有名だが、他にもタバコからコンドームまで、優雅で甘美なイメージの 「シャンパーニュ」の名を商標にする輩は後を絶たず、数多のシャンパーニュ類似品が展示されている。一階の庭が見渡せる大広間、地下の広大なカーヴも、この町におけるシャンパーニュの重要さを感じさせるものだ。
Musée du vin de Champagne et d’Archéologie régionale:
13 av. de Champagne 51200 Epernay
Tél : 03.2655.0356
11月〜3月は13h30-18h (週末は10h-18h)(他の時期はネットで確認)、火休、12/25、元旦、5/1休館。9.5€/6.3€。毎月第1日曜無料。13歳未満無料。エペルネー駅から徒歩10分。
エペルネー、12月の重要イベント!
Habits de lumière 光の祭典
今年は12月8-9-10日!アビ・ド・リュミエールは、スパルナシアン(エペルネーの住民 Sparnaciens)たちがが心待ちにする光 (ともちろんシャンパーニュ)の祭だ。シャンパーニュ大通りの建物でビデオマッピング、イルミネーション、パレード、花火、シャンパーニュ・バー…。
クリスマスの後も、1月22日にはワイン醸造者の守護聖人ヴァンサン祭。様々なシャンパーニュ会社が一緒になって、収穫に感謝し、新しい年の幸運を願う。
◆パリからエペルネーへの行き方
パリ東駅から直通で1h20。乗り換えで2時間ほど。
◆ エペルネー観光局:
Office de Tourisme Epernay en Champagne
7 av.de Champagne 51200 Epernay
Tél : 03.2653.3300
www.epernay-tourisme.com